外国人エンジニアが注目を集める理由

外国人エンジニアの採用に乗り出す企業は増加傾向にあります。その背景にはどのような理由があるのでしょうか?

理由1:国内のエンジニアが不足している

2030年には国内のエンジニア不足は最大79万人に上ると予測されるなど、国内のエンジニア採用市場は厳しい状況が続いています。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時期は落ち着いていたエンジニアの求人倍率も、2022年9月の情報・通信業の有効求人倍率は「2.92」。全体平均の「1.39」と比べても高い数値となっており、再びコロナ禍以前の競争率の高さに戻りつつあります。

エンジニア不足の解消を目的に、外国人エンジニア採用市場に目を向ける企業が増えているのです。

理由2:優秀なエンジニアはオファー金額が高い企業に集中している

特に実績も豊富でスキルの高いエンジニアは高額なオファー金額を提示できる企業に集中してしまっているのは想像に難くありません。

まだ実績のない新卒エンジニアの採用市場にも同様の動きが出ており、サイバーエージェントが新卒エンジニアの初任給を42万円に引き上げたことなどはまだ記憶に新しいトピックです。このように優秀なエンジニアを採用するために、国内ではオファー金額の吊り上げ合戦が繰り広げられているのが現状です。

一方で外国人エンジニアの場合は、高いスキルを持っている優秀な人材であっても国内と比べると低いオファー金額で採用できることが多く、優秀なエンジニアを採用したい企業にとって大きな魅力となっています。

理由3:AIなど専門性の高いエンジニアの需要が高まっている

ディープラーニングの登場などによって、AIを使った研究・開発ができるAI人材の需要が急速に伸びています。しかし経済産業省によるとAI人材は2030年までに最大で14.5万人不足することが予測されるなど、こちらも国内のエンジニア市場だけではカバーしきれない状態であることがわかります。

一方でベトナムなどは政府が高度IT人材の育成に力を入れており、AI開発を目的にベトナムをオフショア開発先に選んだり、ベトナム人エンジニアの採用を活発に行う企業も増えています。

ベトナム人エンジニアの技術レベルについてはこちらの記事でも紹介しています。

ベトナム人エンジニアの技術レベルを考察!採用する際に知っておきたい特徴とは?

日本のIT企業における外国人エンジニア採用の状況

厚生労働省が発表している外国人雇用状況の届出状況によると、2021年10月末時点で外国人エンジニアを採用しているIT企業の数は「12,180カ所」・外国人エンジニアの数は「70,608人」となっています。2020年10月末ではそれぞれ「11,912カ所」・「71,284人」と、人数そのものは減っているものの、外国人エンジニアを採用するIT企業は増えていることがわかります。

またベトナム出身者を始めとする外国人エンジニアの採用プラットフォーム「xseeds Hub」を利用し外国人エンジニアを採用する企業は2014年から2022年にかけて約2.5倍に増加し、内定者数は約5.6倍に上ります。ここからも、国内企業の外国人エンジニア採用に対する関心が高まっていることが伺えます。

外国人エンジニアを採用するメリット

では、実際に外国人エンジニアを採用することでどんなメリットがあるのでしょうか?この記事では4つほどご紹介します。

外国人エンジニア採用に取り組む企業の実際の声はこちらからもご覧いただけます。

メリット1:母集団形成がしやすい

国内のエンジニア採用活動において、母集団形成に最もコストやリソースをかけるという企業も多いのではないでしょうか?ダイレクトリクルーティングにコンテンツ作成、イベントの開催など、どの企業もターゲット層を集める方法を模索しています。しかし国内のエンジニアが不足している以上、少ないパイを取り合う構図になることは避けられません。

他方、外国人エンジニア採用市場は市場規模そのものが格段に大きくなるため、それに比例して母集団が一気に広がります。また国や地域によっては日本企業への就職に意欲的な外国人エンジニアも多く、そのような母集団にリーチすることができれば、自社に興味を持ってもらえる優秀な外国人エンジニアを非常に効率的に集めることができると言えます。

当社(Sun*)が運営するxseeds Hubには、ベトナムをはじめとする各国トップレベルの大学で実践的なIT技術と日本語教育を受けた学生が2,200人以上集まっています。優秀な外国人エンジニア採用をお考えでしたら、ぜひ一度お問い合わせください。

メリット2:専門的なスキルを身につけたエンジニアに出会える

国や地域によっては、AIなど高度な専門スキルを身につけたエンジニア育成に力を入れている場合があります。例えば台湾などは政府が毎年1万人に上るAI人材の育成を指針として掲げています。

このように日本と距離がそれほど離れていないアジア諸国においても、高度な専門的スキルを身につけた外国人エンジニアを採用できると言えます。

メリット3:社内のダイバーシティが推進される

組織づくりにおいて、ここ数年で急速に注目を集めているのが「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン))」の考え方です。”多様性(Diversity)”を”包括(Inclusion)”した組織のことを指しますが、最近ではここに”公平性(Equity)”を加えて「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」という言葉を使用することも増えてきました。

具体的には社内の女性管理職の増加や障がい者雇用、LGBTQ採用などに加え、外国籍人材の雇用も含まれます。DE&Iを推進することで、異なるバックグラウンドを持つ人たちが集まる組織になり、イノベーションが生まれると言われています。外国人が在籍することを前提とした多様性を重んじる組織づくりに取り組む企業も増えていくことが予測されます。

メリット4:海外進出の足掛かりになる

特にベンチャーやスタートアップの中で、海外に開発拠点を立ち上げることのメリットが注目され始めています。

例えばフィンテック業界大手の株式会社マネーフォワードは2022年4月にベトナムに2拠点目となる開発拠点を立ち上げました。また2022年5月には株式会社メルカリが、10月には決済アプリを提供するPayPay株式会社がインドに開発拠点を設立したことを発表しました。

両社に共通するのは、開発拠点を立ち上げる前に現地の外国人エンジニアを自社で採用している点です。いきなり海外拠点の立ち上げとなるとハードルが高く感じられるかもしれませんが、事前に現地の外国人エンジニアを採用することで文化的な違いや国民性を自社にインストールでき、海外進出の第一歩となるのではないでしょうか。

外国人エンジニアを採用するデメリット

外国人エンジニアを採用する上で想定されるデメリットもいくつかご紹介します。

デメリット1:入社手続き(就労ビザの取得)に時間がかかる

ひとつ目は入社手続きに時間がかかる点です。外国人エンジニアが日本で就労するためには就労ビザが必要となります。企業側が申請書類などを準備する必要もあるため、国内でエンジニアを採用するよりも入社までに必要な期間を長く見積もった方がトラブルは少なくなるでしょう。

外国人エンジニアのビザ取得手続きに関してはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。

外国人エンジニアのビザ取得に必要な準備と入社フォロー施策をご紹介!

デメリット2:コミュニケーションコストがかかる

外国人エンジニアを採用する上で「日本語でのコミュニケーション」を不安に思う企業も多いのではないでしょうか?外国人エンジニアとのコミュニケーションをスムーズに行うためのコツをいくつかご紹介します。

文章を短く区切る
わかりやすい単語へ変換する
何度も伝える

相手の立場に立って「伝えよう」という意識を持つだけでも意思疎通はグッとしやすくなりますので、ぜひ試してみていただきたいと思います。

また日本語能力が高いエンジニアを採用することもひとつの手です。

外国人エンジニアの日本語能力についてはこちらの記事で紹介しています。

外国人エンジニアの日本語レベルを知りたい!日本語力を測る「JLPT」とは

デメリット3:仕事観やキャリア観が異なる

異なる環境で生まれ育ってきた外国人エンジニアは、日本人と仕事の価値観やキャリアに対する考え方が違う部分があります。そのため仕事観やキャリア観についてのすり合わせがとても大切です。

違いを理解しないまま接してしまうと思わぬ早期離職のリスクなどもあるため、外国人エンジニアが自社に定着し活躍し続けてもらうための環境を整えましょう。

外国人エンジニアの受け入れについてはこちらの記事でも紹介しています。

外国人エンジニアを新卒で受け入れる際のポイントは?よくある課題と注意点

おすすめの外国人エンジニア採用手法

外国人エンジニアを採用するメリットやデメリットを紹介してきましたが、実際に外国人エンジニアを採用するにはどのような手法が良いのでしょうか?

効率的に外国人エンジニアを採用する場合は、外国人エンジニア採用に特化した「人材紹介サービス」「求人媒体」を利用するのが良いでしょう。

すでに外国人エンジニアを採用している場合は「リファラル採用」が最もコストを抑えた採用手法といえます。

外国人エンジニアの採用手法に関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。

外国人エンジニア採用のメリットは?代表的な手法と基礎知識を解説

まとめ

近年注目を集める外国人エンジニア採用のメリットやデメリット、さらにはおすすめの採用手法についてご紹介しました。メリットとデメリットを比較しながら、自社に見合う外国人エンジニア採用へ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?