採用した外国人エンジニアの大学スケジュールを把握

新卒で外国人エンジニアを採用すると、内定から入社までに1-2年かかる場合が多いです。そのため入社のタイミングやビザ取得時期などを確認するため、大学のスケジュールを把握しておくと良いでしょう。

卒業時期

日本の大学はほとんどが3月卒業ですが、海外では大学によって卒業時期が異なる場合があります。多くは夏休み明けの8月や9月の場合が多く、それまでに卒業が確定します。入社時期にばらつきが出てくる可能性があるため、事前に卒業時期を把握しておいた方がいいでしょう。

卒業条件

せっかく内定を出した外国人エンジニアが卒業できないなどの事態は避けたいですよね。また卒業が確定した段階で大学側から発行される「卒業見込み証明書」や「卒業証明書」は就労ビザ申請のためにも必要となります。入社予定の外国人エンジニアの学習状況などを定期的な面談を行い把握しておくことで、入社までの手続きをスムーズに行えたり、リスクヘッジにつながります。

在学中に取得可能な試験・資格

在学中に取得可能な試験・資格の中には、取得していると就労ビザ申請の手続きを前倒しで行うことができるものもあります。入社手続きを円滑に進めるためにも、採用した外国人エンジニアに取得してもらうのもひとつの手です。

また外国人エンジニアの場合は日本語能力を測定するための試験を受けてもらう(あるいはそのために日本語を学習してもらう)ことで、入社後に円滑なコミュニケーションを取るための土台作りにつながるでしょう。

ビザ取得に有利な試験や、主な日本語能力測定試験をご紹介します。

基本情報処理技術者(FE)試験

基本情報処理技術者(FE)試験は独立行政法人情報処理推進機構試験が提供する試験で、合格すると卒業見込証明書の発行を待たずにビザ申請手続きを行うことができます。大学の卒業時期にもよりますが、2週間〜1ヶ月ほど早くビザ申請手続きを行うことができるでしょう。実施時期は4月と10月の年に2回です。

>>公式HPはこちら

日本語能力に関する試験

ベトナムのハノイ工科大学など、xseeds Hubで提携している大学の多くが日本語能力に関する試験を卒業条件にしているため、日本企業に就職予定の外国人エンジニアのほとんどが在学中に試験を受けます。

日本語能力を身につけていることは入社後のコミュニケーションにおいて重要な要素です。そのため卒業条件に入っていなかったとしても、以下のような日本語能力試験を受験してもらうことをお勧めします。

  • 日本語能力試験(JLPT)※実施時期:7月、12月
  • 日本語NAT-TEST    ※実施時期:2月、4月、6月、8月、10月、12月
  • J.TEST実用日本語検定 ※実施時期:1月、3月、5月、7月、9月、11月

外国人エンジニアの日本語能力に関しては以下の記事でも詳しくご紹介しています。

外国人エンジニアの日本語レベルを知りたい!日本語力を測る「JLPT」とは

外国人エンジニアの就労に必要なビザの種類

外国人エンジニアが日本企業へ就職する際に取得できるビザは以下の2種類です。

  • 高度専門職
  • 技術・人文知識・国際業務

高度専門職

「高度専門職」は高度外国人材の受入れを促進するため、高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国在留管理上の優遇措置を講じる制度です。「高度専門職」のビザを取得すると、法律上の最長在留期間である5年の在留期間が一律で付与されたり、配偶者の就労に関する条件が緩和されるなど様々な優遇措置を受けることができます。

>>高度専門職に関する情報はこちら

技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」に該当する在留活動は以下です。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)
該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等。

外国人エンジニアの場合は技術・人文知識・国際業務のうち”技術”の要件を満たすことで取得が可能です。

この記事では「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得する場合における手続きを紹介しますが、どちらのビザを取得する場合でも必要になるのは「在留資格認定証明書」です。

在留資格認定証明書を申請し就労ビザを取得する

就労ビザを取得するためには、まず「在留資格認定証明書」を申請・取得する必要があります。以下に取得の流れを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

在留資格認定証明書申請に必要な書類を準備する

在留資格認定証明書の申請は受け入れ企業側が行うため、企業側で書類を準備しつつ、入社予定の外国人エンジニアからも申請に必要な書類を回収する必要があります。以下が申請に必要な書類の一覧です。

外国人エンジニア ビザ
(xseeds Hubにより作成※転載はご遠慮ください※)

書類を全て揃えたら、入国管理局へ申請書類を提出し在留資格認定証明書の申請をおこないます。

就労ビザの申請を行う

在留資格認定証明書が発行されたら、就労ビザ取得の申請を行うことができます。ビザの申請は現地の日本大使館で行う必要があるため、入社予定の外国人エンジニアへ在留資格認定署名書を送付し、手続きを行ってもらいます。

初めて在留資格証明書の申請や就労ビザの取得を行う場合は、行政書士へ相談すると安心です。

外国人エンジニアが日本で生活するための環境を整える

日本に居住した経験のない外国人エンジニアは、日本企業へ就職すると文化や習慣の全く違う環境で生活することになります。受け入れ企業側からフォローしてあげることで、知らない環境へ飛び込む不安を軽減してあげることができます。

渡日準備金

日本へ移住する際、現地と日本の物価の違いなどから初任給までの生活費や住居契約の際の頭金などを十分に用意できない場合があります。そのため受け入れ企業側が渡日準備金を用意すると、外国人エンジニア側も安心して渡日準備を進められますし、企業への信頼感にもつながります。

渡日準備金を支給するのか入社後に返済するのかなどは、入社予定の外国人エンジニア本人と相談の上決めるのがよいでしょう。

その他の生活環境の準備

日本語でのコミュニケーションに不安がある外国人エンジニアの場合は、住居の準備銀行口座の開設SIMカードの契約など複雑なやりとりを必要とする手続きのサポートをしてあげるといいでしょう。

xseeds Hubでサポートしている企業の中には、オフィス近郊の住居を契約したり、同時期に入社する外国人エンジニアが複数人いる場合はルームシェアができる物件をあてがうケースがあります。また日本の生活に慣れるまでの期間、受け入れ企業の社員がホストとして迎え入れるなど手厚くケアをするケースなどもあります。

その他の外国人エンジニア入社までのフォロー施策例

ここまでビザの取得や日本での生活環境の整備など、入社までに必要な諸手続きについてお話ししてきました。

この項では、入社後の活躍や定着を見据えて入社前にできるフォローについて、具体例を交えてご紹介します。

日本語教育

日本語を使った業務経験のない外国人エンジニアを採用した場合、入社までの期間である程度の日本語能力を身につけてもらうことで、入社後のスムーズなオンボーディングが期待できます。オンライン学習サービスを利用したり、後述するフォロー面談を通して日本語でのコミュニケーション機会を定期的に設けても良いかもしれません。

ITスキルの向上

新卒で外国人エンジニアを採用した場合には、入社までの期間でITスキルを向上してもらうよう働きかけてもよいかもしれません。夏休み期間を使ってインターンをするケースや、現地企業で1年以上の長期インターンをするケース、受け入れ企業がオリジナルのインターンプログラムを用意するケースなどがあります。自社でインターンをしてもらう場合は、給与の支払いや業務委託契約などが発生する点に注意しましょう。

フォロー面談

採用した外国人エンジニアが学生の場合は、以下のような目的で入社までに定期的なフォロー面談を実施するのがおすすめです。

  • 内定者との関係性構築・向上
  • 双方のミスコミュニケーション、認識齟齬の防止
  • 内定者の学習モチベーションの向上(危機感、責任感)
  • 日本での暮らしや入社への不安解消
  • 内定者の理解(日本語能力の把握、醸成、ITスキルなど)
  • 内定者の成長度の確認

設定したテーマに基づいて外国人エンジニアに発表してもらうことで、フィードバックや話を深掘りしてコミュニケーションのきっかけになります。学習状況や内定者の人柄を知ることができるようなテーマを選ぶとよいでしょう。以下にフォロー面談のテーマ例を記載します。

  • 学習計画の共有と進捗報告
  • 日本で行きたい場所とその理由
  • 長期休みの思い出
  • 自身のキャリアで実現したいこと

外国人エンジニアの家族とのコミュニケーション

日本へ初めて移住する外国人エンジニアの場合は、そのご家族が日本への就職を不安視している場合があります。その不安を軽減させる意味でも、企業担当者が現地へ赴きご家族とコミュニケーションを取ることは非常に効果的です。

その際には、ご家族に安心してもらえる以下の内容を話すとよいかもしれません。

  • ご家族に向けた会社説明
  • 日本での生活案内
  • ご家族から受け入れ企業への質問・回答

可能であれば懇親会などを実施して、親睦を深めるのもおすすめです。

外国人エンジニアが企業に定着するためには

ここまでは入社までの諸手続きやフォロー施策についてお話ししてきました。しかし、外国人エンジニアに自社で長く活躍してもらうためには、入社してからの定着支援も重要です。外国人エンジニアに定着してもらうための考え方や施策については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください!

外国人エンジニアを新卒で受け入れる際のポイントは?よくある課題と注意点

まとめ

外国人エンジニアを新卒で採用した場合の、ビザ取得の手続きや入社までのフォローについてご紹介しました。海外に目を向ければ、優秀な人材と数多く出会うことができます。国内の新卒採用とは異なるスケジュール感や諸手続きなどに戸惑うこともあるかもしれませんが、外国人エンジニアが持つ新しい価値観を取り入れていっていただきたいと願っています。

xseeds Hubでは優秀な外国人エンジニアの採用から入社までのフォロー、定着支援までを一気通貫でフォローしています。ご興味お持ちいただけましたらぜひお問い合わせください。