ベトナムの給与水準は?特にITエンジニアは高水準

独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した調査を元に、ベトナムの全国平均給与とITエンジニアの給与を比較していきます。

ベトナムの月間平均給与は約3万8,280円

ベトナム人エンジニア給与
(画像引用:https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=34030662

2022年度第2四半期のベトナムの月間平均給与は660万ドンで、日本円にすると約3万8,280円です。新型コロナウイルス感染症の拡大によって2020年度には落ち込んでいたようですが、2021年にはコロナ禍以前の2019年度よりも成長を遂げています。この数字からもベトナムという国の勢いが見て取れますね。

ITエンジニアの給与は全国平均の約2.8倍の高水準

ベトナム人エンジニア給与

(数値参考:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/6e5157e362606548/20210045_01.pdf

2021年度のベトナム国内のIITエンジニアの平均月給は774米ドル。日本円にすると約10万5,640円で、中国やタイに次ぐ高水準です。ベトナム国内全体の平均月給(約3万8,280円)と比べても約2.8倍であり、ベトナム国内におけるITエンジニア給与の高さが分かります。

ベトナムの給与上昇率が成長を続ける背景は?

新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに一時的に落ち込んだベトナムの給与水準ですが、2020年度にはコロナ禍以前の水準をこえる給与水準となっています。さらにベトナム政府は最低賃金を2022年7月1日から月額で平均6%引き上げると発表しました。最低賃金の引き上げは2020年1月1日の平均5.5%引き上げ以来2年半ぶりとなり、コロナによる経済の停滞を克服し、更なる成長を遂げようとしていることが分かります。

また2022年第2四半期の平均月収は、前年同月比8.2%増と大幅な伸びを見せており、ベトナムに進出する日本企業にとって従業員の賃金上昇は経営上の最も大きな問題点として挙げられています。ベトナム現地で事業を展開する企業にとっては悩みの種にもなりますが、裏返せばベトナムの成長度合いを裏付ける事実と言えるかもしれません。

ベトナムの給与水準が年々上昇を続ける背景には何があるのでしょうか?「GDP成長率」と「ITエンジニア育成」の2つにフォーカスして紐解いていきます。

GDP成長率と給与上昇率が比例している

2022年第2四半期(4~6月)のベトナムの実質GDP成長率(推計値)は前年同期比7.72%で、第1四半期(1~3月)の5.05%を上回る伸となっています。日本の2022 年4-6 月期のGDP成長率は、実質0.5%(一次速報値)と3四半期連続でプラス成長ですが、ベトナムと比べると低いです。またASEAN主要6か国内ではベトナムがフィリピンに次いで2位となっており、ASEAN内でも高い成長率であることがわかります。

GDPはその国の経済成長率を表す指標であり、給与水準もある程度比例します。ベトナムという国自体が経済的に成長している真っ最中であることが、給与上昇率に影響していると言えます。また2022年度のベトナムの労働人口は5,050万人となっており、国の平均年齢も30.5歳と若く勢いのある国です。経済の拡大を担う若い世代のボリュームが大きいことも給与上昇率に寄与している要因です。

ベトナム政府がITエンジニア育成を推進している

ベトナムの中でも特にITエンジニアの給与が高いことは紹介しましたが、その理由のひとつになるのがベトナム政府がITエンジニアの育成に力を入れていることです。大学などの教育機関と政府が積極的に提携を進め、毎年5万人にのぼるエンジニアを輩出しています。

xseeds Hubの原点も、2006年にベトナムトップレベルのハノイ工科大学とJICA(独立行政法人国際協力機構)が共同で 発足したODAプロジェクト(政府開発援助)であり、「日本語のできる高度IT人材の育成」を目標に大学内に公式学科として設置されたのが始まりでした。現在でもハノイ工科大学をはじめとした12の大学と提携し、コンピュータサイエンスと日本語教育のプログラムを提供しています。

>>xseeds Hubについてはこちら

オフショアから開発拠点まで、注目を集めるベトナム

政府がITエンジニア育成に力を入れていることもあり、ベトナムは特に2010年頃からオフショア開発先として日本企業から人気を確立してきました。それに加えて近年ではプロジェクトごとに契約をするオフショア開発ではなく、開発組織そのものを現地に構築する開発拠点の立ち上げ先としても注目を集めています。

エンタープライズから人気を集めるベトナムでのオフショア開発

「オフショア開発白書 2021年・ベトナム版」によると、オフショア開発先としてのベトナム人気は変わらず高いままですが、ニーズの変化が見られるようです。オフショア先にベトナムを選ぶ理由として、これまでは「コスト削減」が一位でしたが、この2−3年で「ITリソースの確保」が増えています。これは低コストというメリットだけではなく、例えば「基幹システム開発」や「AI開発」など高い技術力が求められるプロジェクトでもベトナムへアウトソースする傾向が高まっていることを示しています。

オフショア開発を依頼する企業の傾向にも変化が起きています。ベトナムをオフショア開発先に選ぶ企業はエンタープライズが増えており、大手企業でも国内ITリソースの深刻な不足に直面していることが伺えます。一方で100名以下の中小規模の企業の割合は多くありません。ベトナムよりも単価の低いミャンマーやバングラデシュといった国を選ぶ傾向が強いというのも理由のひとつですが、近年ではベンチャーやスタートアップの企業が、オフショア開発ではなくベトナム現地で開発拠点を立ち上げる事例も増えています。

ベンチャーやスタートアップの中ではベトナムに開発拠点を作る動きも

ベンチャーやスタートアップの中には、ベトナムを開発拠点の立ち上げ先に選ぶ事例が出てきています。

例えばフィンテック業界大手の株式会社マネーフォワードは2022年4月にベトナムに2拠点目となる開発拠点を立ち上げました。

他にも印刷サービスの価格比較サイトを運営するラクスル株式会社や企業のデジタルマーケティングのデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社などもベトナムに拠点や法人を立ち上げています。

ベトナム人エンジニアの採用!技術レベルや給与は?

オフショア開発や開発拠点の立ち上げに加えて、自社の社員としてベトナム人エンジニアを採用するという選択肢もあります。xseeds Hubを利用する企業は2014年から約2.5倍に増加し、内定者数は約5.6倍に上ります。ここからも、国内企業のベトナム人エンジニア採用に対する関心が高まっていることが伺えます。

幅広い開発領域に対応できるベトナム人エンジニアの技術力

前の方でも少し触れましたが、現在ベトナムのオフショア開発で人気が高いのが「基幹システム開発」や「AI開発」です。

「基幹システム開発」はベトナムの技術力が上がってきたことで対応できるプロジェクトの幅が広がったことが、人気の高まりに背景にあります。開発言語が特殊な場合も多く、国内で不足しがちな高度IT人材を求める企業が、技術力の上がっているベトナム人エンジニアのリソースを確保する動きが高まっています。「AI開発」も同様に、ベトナムでは「AI、機械学習、深層学習」の分野での成長が顕著です。

▼ベトナム人エンジニアの技術力についての記事はこちら

ベトナム人エンジニアの技術レベルを考察!採用する際に知っておきたい特徴とは?

優秀な若手人材の確保はベトナム現地の企業でも積極的に動いていますが、現地で就職するよりも日本企業への就職の方が給与が高いという点で、技術力が高く優秀なベトナム人エンジニアを採用しやすい状況です。

日本企業で採用する際のベトナム人エンジニアの給与は?

では、ベトナム人エンジニアを採用する際の給与はどれくらいなのでしょうか?xseeds Hub経由で就職したベトナム人エンジニアのデータを元に見ていきます。

給与幅は約300万〜600万と国内でのエンジニアの新卒採用と大きな差はありませんが、「データアナリスト」や「コンサルタント」など高度な専門知識を要する職種に関しては、平均よりも高いオファー年収を提示する傾向があるようです。

ベトナムは国として高度IT人材の育成に力を入れており、これからも技術力の高まりが期待されます。国内の新卒採用と同じ給与水準で優秀なエンジニアを確保できる手段として、ベトナム人エンジニアの採用を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

▼外国人エンジニアの採用についての記事はこちら

外国人エンジニア採用のメリットは?代表的な手法と基礎知識を解説

まとめ

アジア諸国の中でも堅調な経済成長を続けるベトナム。その成長の背景には、GDPの成長率や国が推進する優秀な若手ITエンジニアの育成がありました。その結果オフショア開発先として確固たる地位を築きつつも、日進月歩の技術力の向上によってより幅広いニーズに対応し、若く意欲的なITエンジニアを毎年5万人輩出しています。対照的に日本国内のIT人材不足は日に日に深刻さを増しています。日本国内と同じ水準で優秀な若手エンジニアを採用したい企業は、ベトナム人エンジニアの採用を考えてみてはいかがでしょうか?