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目次
AIがもたらす開発組織への変化
2つ目のトークテーマは「LLMがもたらす開発組織・プロセスへの変化」。技術変革が目覚ましいLLM(大規模言語モデル)(※1)が開発組織にどのような変化をもたらすかについて意見が交わされました。
開発プロセスにもたらされる変化
斎藤
続いてのトークテーマは「 LLMがもたらす開発組織・プロセスへの変化 」なんですが、そもそもLLM(大規模言語モデル)が出てきたことによって、極端な話エンジニアがいらなくなるんじゃないかみたいな話をする方もいるじゃないですか。今回のイベントのテーマが”5年後の開発体制”についてというのもあるので、開発組織や開発プロセスがLLMによってどう変わるのかについてみなさんのお考えを聞きたいと思っています。
先に私自身の考えをお話すると、正直5年後は分からない(笑)分からないんですけれども、とはいえ今起こってるパラダイムって本当に大きいとは感じています。それこそAWSが出てきた時かそれ以上だなと。例えばプロンプト(※2)をどう扱うかは、エンジニアがテストコードを書くのと近いのかなと思っています。テストコードって書かなくても実装はできるけれども書いた方が絶対にクオリティは高くなるのと同じで、プロンプトを扱えなくても実装はできるけど、上手く扱えた方が絶対生産効率上がるよねとなっていくのではと考えています。今年度の日本拠点の新卒研修では、データベース設計をchatGPTを活用してやってみるという課題を盛り込んだのですが、LLMをうまく活用できる人はどんどん先に行くんだろうなと感じますし、僕たちも積極的に開発プロセスの中に取り入れたいなと思ってたりします。
それくらいエンジニアと密接な関わりが生まれてくると個人的には思っているのですが、中出さんは社内の開発プロセスにLLMを取り入れるなどの取り組みはされていますか?
中出
いろいろな取り組みをやろうとはしています。分かりやすいところで言えばコードを書くとか、テストケースのユニットテストの自動生成をさせてみるなどですね。あとはAIとかの研究をしている人たちは論文を読む際に、全てを読み込むのではなくて、AIに論文の要約を作らせて、どの論文を読むべきか判断するとか。あとはAPIの仕様書を作ったり、逆にAPIの仕様書からアクセス部分のコードを書かせたりとか、いろんな活用の仕方があると思って試しているという感じです。
あと開発じゃないんですけど、みなさんもそうなんじゃないかと思うんですが、厄介な問題としてコーディングテストがchatGPTに解かれてしまう問題があるので(笑)コーディングテストでフィルタリングするのが難しくなってるのはありますね。
斎藤
それで正しい答えが導けるのならそれでもいいのでは、という考え方もありますね(笑)
採用・組織づくりにもたらされる変化
末澤
採用面への活用もできそうですよね。実際私も触ってみる中で、エンジニアにとって魅力的な求人票を作成させたりすると結構精度の高い回答が返ってくるので、活用の道はいろいろあると感じています。
斎藤
そうですよね。サイダスさんはすでにプロダクトにも取り入れられていますが、開発プロセスへ取り入れる予定などはありますか?
吉田
そうですね。例えばGitHub CopilotやAWSのCodeWhispererなどのコーディング支援ツールを使ってテストケースを生成したりなどは今までも普通に使っていたりはします。LLMによって生産性が向上するという話もありましたが、僕個人としてはその前にアプリケーションの品質向上に効いてくるのかなとは考えています。従来のテスターだとバグを出さずにスルーしちゃってたものが、バグが突き抜けずに検知してくれたりなど。少なくともエンジニアいらずになるという方向はないかなとは考えています。
あとは、LLMを活用することで、海外人材とコミュニケーションをする際に、通訳やBrSEを介さずリアルタイムに翻訳をしてもらうことでスムーズなやり取りができるようになるのではないかと思っています。なのでベトナム語や英語ができなくても未来に甘えちゃおうかなという気持ちがちょっとあります(笑)ただ気をつけないといけないなと思うのは、言語の壁が取り払われたとしても、文化の違いはあるということ。BrSEという職種は単純に仕様を伝えるのではなく、文化の違いを考慮してコミュニケーションを円滑に行うよう心がけてくれています。そこを剥き出しのまま伝えると齟齬が起きると思うので、ちゃんと文化的な相互理解を隅々まで行き渡らす必要はあると思っています。
(※1)「ChatGPT」などに代表される、大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理のモデル
(※2)AIにデータや回答を出力させる際の指示文
変化に強いグローバルな開発組織を作るために
最後のトークテーマは「変化に強いグローバルな開発組織を作るには」です。
多様性を尊重する組織をいかに作るか
斎藤
吉田さんのお話は最後のトークテーマに通ずる部分があるなと思います。LLMなどの技術革新もそうですが、これからも開発組織にインパクトを与えるような変化はもっとたくさん起きていく中で、そのような変化に強いグローバルな開発組織を作るためにはどうすればよいかご意見をお聞かせいただければと思います。
末澤
「変化に強い」という観点でいくと、変化するのが当たり前の組織にすることは重要だと思います。自身が立ち上げに関わった子会社が、本体の主力をひとつの事業として吸収合併する決断が下された際、会社としても大きな方針転換だったため従業員がどのように受け取るかという懸念もありました。そこでメンバーに率直にどう思ってるかと聞いてみたのですが、返ってきたのは「全然気にしていないです普通だと思います。」という回答でした(笑)常に何かしらの変化がある組織だからこそ、変化を当たり前と捉えている人が多いのだと実感した出来事です。それもあって、そもそも変化に楽しめる人材を採用することと、変化を常態化させることは組織を作っていく上で大切なのかなと考えています。
斎藤
インフキュリオンさんは組織づくりの上でDEI(Diversity, Equity & Inclusion)を掲げていますが、特にEquity(公平性)を担保することは難しいのではと想像します。何か気をつけていることはありますか?
末澤
一般的な話にはなるのですが、機会提供を公平にすること、やりたいと意思表示をした人に対して可能な限り挑戦の場を用意することあたりがポイントになるのかなとは思います。
斎藤
サイダスさんは今後海外拠点の立ち上げも視野に入れられているとのことですが、どのような組織づくりを見据えていますか?
吉田
現状だと、日本で働きたいという意欲が強い方やサイダスという組織へのロイヤリティが高い方と一緒に働いているため、彼らに甘えている部分が大きいと自覚しています。日本という異国の地に来てもらって、日本語でのコミュニケーションを求めているので。とはいえ末澤さんがおっしゃるように、これからダイバーシティの観点が重要になってくる中で、現行のマネジメントでは立ち行かなくなる時が来ると思っています。とはいえ今僕がダイバーシティの推進のために取り組んでも限界があるとも思っていて、だからこそこれから入社してくる外国人エンジニアの方々自身にその辺りをマネジメントしてもらいたいと思っています。自分の役割はそれを極力邪魔しないことだと今は考えていますね。
斎藤
すごくよく分かります。Sun*の場合はベトナム拠点に1,500名ほど在籍していて、そちらの方が規模も大きく、文化の醸成なども含めて開発組織として出来上がっているので、どちらかというとそれをいかに日本拠点へ持ってくるかに取り組んだりしています。彼らが働きやすい環境をいかに作るかはとても重要だと思います。
海外拠点と日本拠点の関係性
斎藤
マネーフォワードさんにもお聞きしたいのですが、先ほどのトークテーマでもあったようなLLMなど新しい技術を社内へ導入する際、海外拠点と日本拠点で足並みを揃えるために意識されていることなどはありますか?
中出
足並みを揃えるという意識を持ったことがないかもしれないですね。足並みを揃えるために準備をしていたら素早く変化できないので、まずやれるところからやるという感じです。ついて行けてないチームが出てくることもあると思いますが、例え社内でも競争という意識を持っているので、やれるところからやるというのをむしろ意図的にやってる気がします。
社外でもエンジニアっていろんな会社間で競争するじゃないですか。それを社内にも取り入れて切磋琢磨するという考え方でやっています。
斎藤
勉強になります。さまざまなお話をお聞かせいただきありがとうございました!
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