目次
スピーカー紹介
株式会社アトムエンジニアリングとは
xseeds Hubとは
トークテーマ①「外国籍人材採用お取り組みの背景」
広瀬
最初のテーマは「外国籍人材採用お取り組みの背景」です。外国籍人材採用に取り組むにあたってどのような背景があったのかをお聞きしたいと思います。
代表自身が国々を周り、ベトナムからの採用を決断
広瀬
最初に、これまでの外国籍人材の採用実績をお聞かせいただけますか?
矢島
2019年度に1名採用したのが初めてで、2020年度が2名、2021年度に1名、2022年度に2名でこれまで6名のベトナム国籍のエンジニアをxseeeds Hubで採用しています。そのうち1名が退職していて、5名が在籍中ですね。
広瀬
外国籍人材の採用自体が初めてでしたか?
矢島
そうですね。以前は中国などの会社とやり取りはあったようですが、言語の壁や相性などもあって採用までは至っていません。そこから時間もかなり空いて、今回ベトナムからの採用に取り組みました。
広瀬
不安はなかったですか?
矢島
ありましたね。むしろ不安しかなかったです(笑)日本語という言語自体が特殊というか…。僕らは英語が全く喋れないので、日本語が通じないとコミュニケーションが取れないので、そこがやはり大丈夫なのかという不安は大きかったです。
社長の片岡自身がタイやバングラデシュなどを訪れて、どこの国から採用するのがいいだろうかというのを確認して、ベトナムなら文化や人々の気質も日本に合うだろうということで決断しました。
広瀬
ここでズイさんにもお伺いしたのですが、日本に就職したいと思ったきっかけは何でしたか?
ズイ
日本の文化は世界的に有名で、私も日本の文化に触れて育ってきました。大学に入るタイミングでITに興味を持ち始めて勉強を進めるうちに、日本はIT業界も発展していることを知り、趣味も仕事も楽しむことができるのではと思い、日本就職を希望しました。
優秀な人たちに出会えるという確かな感触
広瀬
そもそも外国籍人材を採用しようと思ったきっかけは何でしたか?
矢島
当社は栃木の企業なのですが、やはり東京と比べるとプログラミング経験が豊富な人材の採用が厳しいというのは何年も続く課題でした。そのような中で、代表の片岡が知り合いから「外国籍人材もいいのではないか」という意見を仕入れてきて、ではどこの国がいいだろうかとリサーチを進める中でxseedsに出会ったというのが流れですね。
広瀬
xseedsで採用しようと思った決め手は何でしたか?
矢島
他のサービスも話は聞いていたのですが、人材を紹介して終わりというサービスが多い中、xseedsは内定を出してから入社までの1-2年間も日本語教育を行ってくれますし、月に1回学習進捗のレポートもしてくれますし、そこが魅力を感じた点でした。
あとは、最初に選考会に参加した際、面接の場で学生が自分が作ったプログラムを使って技術プレゼンを行ってくれたのは「すごいな」と思いましたね。それってどうやって設計したのとか突っ込んだ質問をしてもきちんと回答してくれて、ほんとに自分で考えて作ったんだなと。そういう技術的に優秀な人たちと出会えるという確かな感触がありました。
広瀬
ズイさんを始めとするxseeds卒業生の技術レベルについて印象に残っていることはありますか?
矢島
当社の従来の製品はウェブを使った仕組みがメインなのですが、そろそろスマホに乗り出そうかなと思っている矢先、「こういうの作ってみました」とスマホ向けのプログラムを作っていたということがありましたね。
もちろん細かいところを見たら色々ツッコミどころはあるのですが、一通りはきちんと動くものを学生ながら自力で作っていたんですよ。それも、先生に言われたから作りましたという訳ではなく、どういう点を重視して作ったのかなども自分の言葉で説明できていました。
トークテーマ②「入社準備・オンボーディング」
広瀬
続いてのテーマは「入社準備・オンボーディング」です。アトムエンジニアリングさんがどのような準備をされたのかや、ズイさん自身の心境など、企業側・入社者側双方の視点で伺います。
内定期間も活用した入社後のオンボーディング準備
広瀬
まずは企業視点から伺えればと思いますが、ズイさんの入社に際して生活面ではどのようなサポートをされましたか?
矢島
社宅という形で部屋を用意しました。あとは、入社してから給与が出るまでの約1カ月間の生活支援金として1日2000円分の計算で事前に支給したりもしていましたね。
部屋の中は冷蔵庫やベッドなどの家電・家具から、歯ブラシや食器、ティッシュに至るまで生活に必要なものは全て揃えました。「慣れない土地で、買い物も不便するのでは…」という心配があったのですが、今思うとやり過ぎでしたね(笑)
当の本人は、来日して2日目には自分で東京に遊びに行ったり、全く物おじせず日本での生活を楽しんでいました。
広瀬
業務面でのサポートはいかがでしょうか?
矢島
内定から入社までの期間が長いので、内定期間中も月に1回オンライン面談を実施して、こちらから宿題を出したりしていましたね。
当社は物流に関わるシステムを作っている会社なので、「入荷・出荷」や「ピッキング」など物流業界でよく使われる語彙に関しては入社までに理解してもらうようにしました。
入社後の技術研修は国内学生と同じ内容を受けてもらい、資料も全て日本語でした。模擬の設計書をもとに成果物を作ってもらうという研修を1-2カ月かけてやってもらうのですが、ズイの場合は作るのが早くて、こちら側が「やばい、次何してもらおう」という感じでしたね(笑)
なので早めに研修を切り上げて通常の業務についてもらっていました。
言語面でのキャッチアップでいうと、毎朝15分1on1で会社の色々な部署の人と日本語で会話してもらうというのをやっていました。社内で協力者を募集して。
日本語力向上と、社内の人と仲良くなってもらおうという意図でやっていました。
研修を通じて、言語・業務両面で準備ができた
広瀬
渡日早々、日本語での研修は大変ではなかったですか?
ズイ
個人的にはこの研修はすごく助かりました。大学でも日本語は勉強していましたが、勉強での日本語と実際仕事で使う日本語は違うところが結構あります。なので、研修などで実際の日本語に触れる機会があることで、心の準備期間になりました。
技術的にも、会社で使われている技術がどういうものなのか知ることができたので、色々と勉強になりました。
広瀬
そのままズイさんに伺います。アトムエンジニアリングさんから受けたサポートで助かったものはありますか?
ズイ
生活については、渡日前からやはり心配していたことのひとつだったので、部屋のほぼ全てを用意してもらえたことはとても助かりました。それに加えて、部屋の周辺の情報なども事前に教えてもらえていたので、日本に行く前から生活のイメージができたのも安心できました。
広瀬
技術研修の内容はいかがでしたか?
ズイ
学べる内容がたくさんありました。単に物を作るだけではなく、説明する能力など。学校で学んできた技術ともまた違うところもあり、この技術はこういう風に使うのかなど発見が色々とありました。
トークテーマ③「業務内容・成長や活躍」
広瀬
続いてのトークテーマは「業務内容・成長や活躍」です。これまでのズイさんの業務内容であったり、それを通じてどのような成長が見られたのかについて伺えればと思います。
持ち前のチャレンジ精神と吸収力で加速度的な成長
広瀬
配属の経緯と業務内容を教えていただけますか?
矢島
配属に関しては、採用の時点から私の部署で面倒を見るというのが決まっていました。実際仕事についてもらうと、先ほどお話ししたように彼はプログラムを覚えるのが早くて、どんどん吸収して書けるようになっていきましたね。
驚いたのは、日本人同士で製品の仕様について話し合っていた時に、ズイが「こうした方がいいと思う」と割り込んできたんです。
日本人同士なので通常の会話速度で話していたのに、今の日本語でのやり取りが分かったのかと驚きましたね。
で、もしかして設計もできるのかとやってもらったりすることで力をつけてもらいました。
今はベトナムに子会社を作ったので、そのメンバーの管理などを含め、BrSEとしてやってもらっています。
広瀬
成長を感じたポイントなどはありましたか?
矢島
彼の場合はそもそもチャレンジ精神があるというか、やった事がないものをやるときに嫌だと言わないですね。
そうすると新しいことに対して尻込みしてしまう人と比べて経験できる数に差がついてきて、言われた物を作るだけではなく自分で意見やアイデアを出すようになってきました。
そのアイデアも、最初は技術的な観点しかなかったのが、最近だと「お客様にとって便利かどうか」っていう視点で意見を言うようになってきたので、製品はお客様のためのものであるということも理解しているんだなと成長を感じています。
広瀬
ズイさん自身が成長したと感じる点はありますか?
ズイ
最初にできて良かったなと思ったのは、自分の日本語が伝わったことですね。同じ会社にいるメンバーとしてコミュニケーションは大事なので、そこは結構頑張りました。
あとは、自分が作ったものを多くの人に使ってもらいたいと思っているので、自分が考えた設計を使ってもらえたのは嬉しかったです。
ただ、先程の矢島さんの話のように話に割り込むなどは本来失礼なことだと思うのですが、矢島さんは優しいので許してもらえてありがたかったです(笑)
BrSEとしての経験を積み、マネージャーを目指す
広瀬
将来の目標を教えていただけますか?
ズイ
将来的な目標はマネージャーになることです。短期的な目標でいうと、ちょうど子会社ができたところなので、BrSEとして、仕事面だけではなくメンバー同士が仲良くなれるように頑張りたいです。
広瀬
矢島さんから、ズイさんの今後に対してどのような期待を寄せますか?
矢島
これまではプログラムであれ設計であれ、手を動かすところをメインにやってきてもらっていましたが、今はBrSEとしてスケジュールやメンバーの管理をやってもらっているので、本人も言っていましたが、ゆくゆくは部門全体を統括できるようになっていってもらいたいですね。
他社様へのメッセージ
広瀬
それでは最後に、他社様へのメッセージをお願いいたします。
矢島
我々も初めて外国籍人材を受け入れる際には、不安がたくさんあって、先程の話のように手厚くしすぎてしまったりという事があったのですが、逆に言うとそこまでしなくても大丈夫です。
もちろん言語の違いによって伝わりづらい場面もゼロではないですが、エンジニアという職種であれば仕事の大半はプログラムを書いている時間ですし、技術の点においては信頼が置けます。
悩むよりも一歩踏み出してみた方が意外と楽だったというのが率直な感想なので、みなさんも同じように思っていただけるのではないかなと思います。
広瀬
ありがとうございました!
Q&A
Q1
ズイさんが入社されるにあたって不安に思っていたことなどがあれば教えてください。
→
ズイ
内定をもらってから実際に入社するまでは長い期間があるので、心配は色々とありました。例えば、渡日のための書類申請が無事にできるのかなどです。その辺りはアトムエンジニアリングさんが、申請の進捗があったらすぐに報告や連絡をしてくれたので、安心することができました。
Q2
給与を含めた福利厚生面での国籍差はありますか?例えば国内の有名大学の新卒とズイさんのような外国籍人材の場合に初任給や昇給に差はあるのでしょうか?語学力などのスキルも加味するのでしょうか?
→
矢島
当社は給与・賞与ともに国籍での差は設けていません。昇給の基準も同じで、プログラムのスキルが高ければ評価するという感じです。言語においても、日本語で話せることが前提なので、そういう意味ではベトナムの方には頑張って語学を習得してもらう必要があります。
福利厚生でいうと、ベトナムの方向けに社宅を用意していたり、年に1回帰省するための飛行機代を会社で負担したりなどはしています。
Q3
外国籍人材に限らない話ですが、一から育てた人材をいかに定着させるかが企業側の課題かと思いますが、工夫していることはありますか?特にITスキル保有人材は引く手あまたであり、より良い給与を求めて転職してしまう傾向があるため参考とさせて頂きたく。
→
矢島
社宅であったり帰省の費用の補助であったり、ベトナムの子会社へ出張の際に帰省してもらったり、給与ではない面で手厚くしています。
あとは仲良く楽しく、人間関係が良好であれば長く働けるということはあると思うので、そこは気をつけたいですね。
Q4
コミュニケーションを行う上での課題をどのように解決しているかお伺いしたいです。
(非日本語ネイティブの方との言語の壁や、細かなニュアンスによる認識のズレ、文化や思想など背景の違いによる解釈の違いなど)
→
矢島
まず、内定期間中からオンライン面談の機会があるので、相手の日本語力はある程度把握できている状態で入社になります。その上で、分かりづらい日本語を使わないようにしたり、ゆっくり話したりなどは気をつけています。
特に、日本語は主語がない点が困るらしいので、やり取りの最後に必ず誰が何をするか確認するのは心掛けているところですね。
逆にベトナムの方の日本語で気をつけたいのが「はい」の意味ですね。日本人は「はい」と言われると理解したと思い込んでしまうのですが、単なる返事として「はい」を使う事があるので、ちゃんと理解できているのかどうかは確認した方が良いかもしれません。
文化面ではあまり認識のずれを感じたことはないですね。
ズイ
そうですね。文化的な違いはあまり感じないです。
日本語が主語がないというのも、最初は理解が難しくて仕事が漏れてしまったりということがありましたが、それもいい経験として、慣れてからは「誰が何をするのか」を意識するように心がけるようになりました。