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奈良 真衣

大学卒業後、大手日系航空会社での地上職を経て、人材紹介会社へ入社。ITコンサルタント・エンジニアの転職支援を行う。その後、Webアプリ開発会社にて人事採用担当として入社しエンジニアからビジネスサイドまでの採用業務に従事。2020年4月にSun*へジョインし、クライアント企業の採用活動支援に従事、上流から下流まで幅広く支援している。

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清水 麻佑

大学卒業後、マーケティング支援会社において新規事業のコンサルタント営業に従事。その後ITベンチャーの人事・広報・マーケティング担当を経てSun Asteriskへ入社。これまで従業員数5万人以上(連結)のプライム企業や20名規模のベンチャー企業など、多岐にわたって採用支援業務に従事中。採用体制整備や要件策定の他、クロージングまでの各オペレーションを一気通貫で行うほか、データ分析を強みとした採用業務の改善も支援している。

エンジニア採用が難しい3つの理由

エンジニア採用が難しい理由は多岐にわたりますが、この記事では3つの理由に焦点を当ててご説明します。

①エンジニアの需給バランスが崩れている
②オファー金額が上昇傾向にある
③働き方が多様化している

①エンジニアの需給バランスが崩れている

dodaの調査を見ると、ITエンジニアの有効求人倍率が加速度的に上昇していることが分かります。2022年12月の求人倍率は「12.09」で、1人のエンジニアを12社が取り合っているような状況となっています。

エンジニア採用 難しい

2018年前後からDXが推進されるにつれ、メーカー企業なども既存事業にデジタル技術を掛け合わせた新規事業創出や、働き方改革に取り組むためにITエンジニアの採用へ乗り出す動きが顕著です。またAIなどの先端技術の発達に伴い、専門性の高いエンジニアを求める企業も増えていくでしょう。

このようにエンジニアに対する需要が増加する一方で、供給が追いついていない結果、他職種に比べて格段に求人倍率が上昇するなど需給バランスが崩れているのです。このことがエンジニア採用の難しさにつながっていると考えられます。

②オファー金額が上昇傾向にある

内定辞退の理由で多いのが「希望年収とオファー金額の不一致」です。国税庁の令和3年度民間給与実態統計調査によると、日本の平均給与は443万円。一方でITエンジニアの平均年収は556万円と、他職種と比べてエンジニアの年収が高いことがわかります。

特にエンジニア採用を始めた企業がおちいりがちな落とし穴が、エンジニアの評価制度を既存の非エンジニア社員と同列に並べてオファー金額を提示してしまうことです。

また最近エンジニアの内定承諾率が下がっていると感じている企業も、既存の評価制度をアップデートする必要があるかもしれません。ギークリーが発表している調査によると、現年収よりも高額なオファー金額を提示する傾向が強まっているようです。

スキルや市場の動向に合わせて柔軟に制度を変えていくことも、エンジニア採用のポイントです。

③働き方が多様化している

エンジニア採用が難しい理由として近年顕著なのが「働き方の多様化」です。コロナ禍で大手企業なども含めてリモートワークが整備・推進されたことに加え、副業OKの企業も増えています。またある程度スキルを身につけたエンジニアはフリーランスとして活動することも一般化してきています。

キャリア形成や自己実現の方法が多様化していることに伴い、時代に合わせた働き方を許容できない企業がエンジニア採用に苦戦する傾向があります。

エンジニア採用に成功する企業の共通点

エンジニア採用に成功する企業は、主に以下のような共通点があります。

①スキルに見合うオファー金額を提示している
②開発組織や自社の技術に関する情報発信に積極的である
③エンジニアが採用活動にコミットしている
④リファラルの比率が高い

①スキルに見合うオファー金額を提示している

1つ目は、求職者のスキルをしっかりと評価した上で適切なオファー金額を提示していることです。注意していただきたいのは、オファー金額は高ければいいというものではないという点です。

スキルの見極めが甘い状態で高額なオファー金額を提示してしまうと、採用数自体を積み上げることはできますが、中長期的な目線で見た時にスキルと年収のばらつきが生まれてくる可能性があります。

結果的に組織内部でフラストレーションが溜まってしまう原因になりかねないので、あくまで評価制度に紐づいた適切なオファー金額を提示することが重要です。

②開発組織や自社の技術に関する情報発信に積極的である

2つ目は、エンジニア採用に効果的な情報発信を戦略的に行っていることです。

情報発信の具体例としてはテックブログや会社名を明記したSNSアカウントの運用、イベント登壇などが挙げられます。いずれも継続的に発信していくことが重要になるものであるため、情報発信を会社全体や組織の文化として醸成していくことがポイントです。

③エンジニアが採用活動にコミットしている

3つ目は現場のエンジニアと採用チームが密な連携を取れていることです。エンジニア採用は専門性が高いため、エンジニア経験のない採用担当者の場合は、いかに現場のエンジニアを巻き込めるかがエンジニア採用成功のカギになると思います。

採用チームとエンジニアが連携する上で気をつけるべきポイントは、エンジニアに担ってもらいたい採用活動の範囲を明示することです。採用チームは戦略の策定からチャネルの選定、数値分析など自社採用の全体を設計します。その上で、例えばエンジニアには書類選考、スカウトターゲット選定、面接や面談における評価やアトラクトをお願いするなど、それぞれの役割を意識した採用体制の構築が理想です。

またエンジニア採用を実施する上で、採用担当者としてエンジニアリングに関する知識を身につけることも大切です。例えば以下のようなインプット方法がおすすめです。

・書籍
・Google検索
・YouTube
・エンジニアへのヒアリング
・書類選考のフィードバック

④リファラルの比率が高い

エンジニア採用に成功している企業の共通点4つ目はリファラルがうまくいっていることです。特にスキルレベルが高く、かつビジネスに関する知識も豊富なCTOや事業部長クラスの優秀なエンジニアはリファラルで転職する傾向が強いです。

またジュニア・ミドルクラスのエンジニアでもリファラルで採用することで採用コストを大幅に抑えることができるため、リファラルに力を入れる企業が多くなっています。ここでも現場のエンジニアにリファラルの意識を持ってもらうことが必須なため、採用チームからの働きかけがポイントになるでしょう。

エンジニア採用の手法

ここまでエンジニア採用が難しい理由と、エンジニア採用に成功している企業の共通点を見てきました。それを踏まえた上で、エンジニア採用を成功させるためにはどのような採用手法を取るべきなのかを紹介します。

・求人広告
・人材紹介
・ダイレクトリクルーティング
・リファラル
・採用代行
・外国籍人材採用
・開発支援サービスや業務委託など外部リソース

求人広告

転職を決意したほとんどの求職者が一度は求人広告を確認するため、求職者の目に触れる機会が多いのが求人広告のメリットです。とはいえ知名度の高い企業などと戦わなければならないため、競争率が高いのはデメリットといえます。

サービスによって集まる求職者の規模やスキル、属性などに特色があるため、自社の採用要件に合うサービスを探すこともポイントです。

人材紹介

人材紹介サービスは、エージェント担当者との関係性をうまく構築できれば質の高い人材を効率的に採用できるチャネルになります。

成功報酬が高くなる点や、エージェントに自社のことを理解してもらうための工数がかかるのが注意点です。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、スカウトサービスに代表されるような企業側から求職者に直接アプローチできる採用手法です。採用ターゲットやペルソナに近い人材に企業側からアプローチできるため優秀な候補者を確保できるという大きなメリットがある一方、時間や手間がかかるデメリットもあります。

またエンジニア採用ではスキルと志向を把握した上でスカウト文面をカスタマイズする必要があるため、ダイレクトリクルーティングを始める際には自社エンジニアとスカウトターゲットの目線合わせを行うことが大切です。

リファラル

最も採用コストを抑えられるのがリファラルです。既存社員から候補者へ透明性や信頼性の高い情報を与えられるため、効果的なアトラクトにつながることが多いです。

一方で定常的に母集団を確保することは難しく、現場社員にもある程度時間を割いてもらう必要があります。そのためリファラル経由での採用は、新規事業を始める際の事業部長ポジションやスタートアップのCTOなど、事業や組織の根幹を担うメンバーを採用する時におすすめです。

採用代行

人事組織に採用領域の専任部門がない場合や、初めてエンジニア採用を開始する際に心強いのが採用代行サービスです。

エンジニア採用のノウハウを持つ専門家のサポートを受けられるため、採用活動を大きく推進することができます。実績や業界知識が豊富な採用代行を選ぶことが、成果を出すためのポイントです。

外国籍人材採用

国内のIT人材不足を受けて近年注目を集め始めているのが外国籍人材の採用です。国内のエンジニア採用市場よりも、各段に大規模な母集団からオファー金額を抑えて優秀なエンジニアを採用できる点が大きなメリットです。特にベトナムやインドネシアなどは政府が高度IT人材の輩出に力を入れており、国内よりも優秀な人材を獲得できる可能性が高いといえます。

ただし日本語によるコミュニケーションや受け入れ体制構築などのハードルもあるため、どのような活躍を期待するのかやそれに紐づく人材要件をしっかり固めることが大切です。例えばビジネス領域のことも理解している人材を採用する際は国内の採用市場から、手を動かす技術力の高いエンジニアは海外採用市場からなどの棲み分けが良いかもしれません。

開発支援サービスや業務委託など外部リソース

新規事業開発に必要なエンジニアを確保する際には、開発支援を提供している企業や業務委託などの外部リソースを活用するのも手です。特に新規事業の初期段階において、開発スピードを落とすことなく事業を推進していくことができます。

また高い技術レベルやマネジメントスキルを身につけているパートナーであればジュニア層エンジニアの育成を任せることができる点も大きなメリットといえます。

とはいえ開発組織全てを外部に依存することは中長期的な目線ではリスクになりかねないため、開発推進と並行して内製化のための採用計画を立てるのがおすすめです。

まとめ

エンジニア採用において求人広告やエージェントなどは、多くの企業が参画しており競争率が高いチャネルとなっています。国内のエンジニア不足がまだまだ続く中、新しい採用手法として外国籍人材や採用代行、開発支援サービスなどに視野を広げてみてはいかがでしょうか?