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住山 省太

株式会社キーエンスにてキャリアをスタート。株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)ではリクルーティングアドバイザーとして活躍する。医療機器メーカーやゴディバ ジャパン株式会社で人事を経験したのち、2015年9月にSun*へジョイン。企業人事とともにハンズオンで採用業務をすすめていくRPO事業に従事しながら、海外トップ大学と提携しIT人材を育成する教育事業の拡大ミッションに邁進。
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廣野 聖和

テクノブレーン株式会社にてスカウトヘッドハンティングをはじめとするエンジニア採用支援からキャリアをスタート。株式会社ネオキャリアではグローバル採用支援の事業拡大に伴い、海外理系新卒・エンジニア領域の立ち上げを担当し、エンジニアのグローバル採用支援に従事する。2020年11月にSun*へジョインして以降は、新規事業創出の開発支援コンサルティングやグローバル採用支援を行う。
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石川 貴輝

新卒でHR企業へ入社し、ブランチ立ち上げを経験後、2021年9月にSun*へ入社。2,200名を超える海外トップ大学出身のエンジニアの採用プラットフォーム「xseeds Hub」に携わる。現在は、スタートアップからエンタープライズまで幅広い企業へのコンサルティング及び、プロダクトの設計を担う。

外国人エンジニア採用に乗り出す企業が増えている背景

 国内の優秀層エンジニア採用市場はオファー金額の吊り上げ合戦になっている

石川
2030年には最大79万人のエンジニア不足が予測されるなど、国内のエンジニア採用市場の競争は激しさを増すばかりです。中でも優秀なエンジニアを採用するハードルは高く、高額なオファー金額を提示できる企業に人材が集中してしまい、潤沢な採用予算を確保することが難しいスタートアップや中小規模の企業などは苦戦を強いられています。

その中で、優秀なエンジニアを確保するための新しい選択肢として外国人エンジニアに目を向ける企業が増えているのは自然な流れだと捉えています。

AIなど専門領域に特化したエンジニアを獲得したい

廣野
ベンチャーやスタートアップに限らず、大手企業も外国人エンジニアに事業成長の可能性を見出す企業が増えている印象です。

DXなどデジタル技術の重要性が社会に浸透するにつれ、これまで機械系や電気系の人材を中心に採用していたメーカー企業も、既存事業にIT技術を組み合わせた事業のアップデートに動き始めています。そのために必要になるAIやデータサイエンスなど高度な技術に特化したエンジニアを確保するのにも、海外市場はうってつけです。

特にベトナムなどはこれまでオフショア開発先のイメージが強かったですが、政府が高度IT人材の育成に力を入れていることもあり、事業の中核を担うような人材を求めてベトナムのエンジニアを採用したいというニーズも聞くようになりました。

外国人エンジニアを採用するメリット

優秀層のエンジニアと出会える

住山
xseeds Hubを利用していただいた企業が外国人エンジニア採用に感じているメリットは大きく2つあります。そのひとつが「突出して優秀なエンジニアを採用できる」という点です。

石川さんも話をしている通り国内で優秀なエンジニアを採用しようとすると、オファー金額や魅力づけを含めて大きな労力がかかります。一方で外国人エンジニアの採用市場は母集団が一気に広がります。よく企業から「どれくらい応募数が来るか不安だ」という声をいただきますが、その点に関しては期待以上だと思います。とある企業では国内のエンジニア採用に比べて応募数が10倍以上になった例もあるくらい、母集団形成にコストやリソースを割かなくて良いことに驚く企業は多いですね。

石川
xseeds Hubの選考会に参加した企業から「(xseeds Hubを)他社に教えたくない」と言っていただくこともありますね(笑)これほど優秀なエンジニアから多数の応募があり、かつ即日内定承諾をしてもらえるチャネルは他にないと。国内のエンジニア採用市場の厳しさを知っている企業ほど、外国人エンジニアの採用市場に目を向けた時の世界の広がり方は歴然だと思います。

海外進出の足掛かりとなる

住山
外国人エンジニアを採用するもうひとつのメリットは「海外進出の足掛かりになる」という点です。特にテック企業の中でベトナムやインドネシアなどに海外拠点を作る動きが加速しており、企業のグローバル化の波は避けられないものになっている印象です。進出を計画している国のエンジニアを採用し、現地とのコネクションづくりや文化的な価値観を自社へインストールするなど、海外進出の戦略のひとつとして外国人エンジニア採用へ乗り出す企業もいらっしゃいます。

外国人エンジニア

外国人エンジニア採用を成功させるには

「なぜ採用するのか」から逆算して採用戦略を練る

住山
外国人エンジニア採用を成功させるためには、まずは「なぜ外国人エンジニアを採用するのか」をしっかり考えることだと思います。そこから「どんな人材ならその要件を満たせるのか」、「どのような採用基準を設けるのか」などの採用戦略を練る。その際にキャリアパスまで想定しておければ理想的ですね。

ただ会社のフェーズによってはそこまで明確に職種を区別したりキャリアパスを用意しなくていい場合もあります。例えば創業まもないスタートアップなどは、事業も組織文化も一緒に作っていける外国人エンジニアを採用するパターンも多いです。

重要なのは、今の自分たちの組織にとってどのような人材が必要なのかという方針をはっきりさせることです。

外国人エンジニアの入社前に社内理解を得る

廣野
もう一点挙げるとすれば、外国人エンジニアを採用するにあたって事前に社内における関係各所の合意形成を取ることでしょうか。特に初めて外国人エンジニアを採用する企業の場合、「外国人」というだけで過度に身構えてしまうことがあります。自身の経験上ですが、そうなると外国人エンジニアと受け入れる企業との間に距離が生まれてしまうと感じます。

その予防線として、事前に”外国人エンジニアを採用するとはどういうことなのか”について社内理解を得たり、彼らの活躍のイメージを持ってもらうことが、長い目で見た時の外国人エンジニア採用成功のポイントだと考えています。

外国人エンジニアを面接で評価するポイント

”プログラミング”が共通言語となる

住山
面接の際に、企業がハードルを感じるのが”言語の壁”です。実際に日本語が流暢ではない外国人エンジニアを前にしたら、何を話せばいいかわからないという人もいるかもしれません。ただ、求職者と企業側との間にはプログラミングという共通言語システム開発という共通のテーマがありますよね。そこを土台にして質問をしていくことで、技術力の評価はもちろん、彼らがどのような考え方や価値観を持って取り組んでいるのかが見えてくると思います。

聞き方・話し方の工夫で自社への志望度を上げる

廣野
面接を通して求職者側の志望度を上げたい場合は、聞き方・話し方ひとつでも大きく変わると思います。例えば同じ質問をするにしても、一問一答形式の硬い雰囲気より、柔らかい口調で話すだけで求職者側の満足度に違いが出てくるものです。言語の違いによる不安を感じているのは外国人エンジニア側も同じで、企業側が“聞く姿勢”を見せることで不安を払拭し信頼感を持ってもらうことができやすくなります。

住山
さらに言えば、採用活動は評価というよりマッチングです。なので企業も”自分たちのことを知ってもらう”というスタンスを持つことが大切です。事業の説明はもちろんですが、会社の中で何ができるのか、その先にどんなキャリアパスを歩めるのかなど、出せる情報を全て開示した対等な状態で合う合わないを判断することが、お互いにとって有意義な出会いの場となるのではないでしょうか。

外国人エンジニア

外国人エンジニアを受け入れる際の注意点

受け入れ部門の選定がカギ

住山
採用した外国人エンジニアが活躍できる環境をつくるにあたって、受け入れ部門の選定は大きなポイントだと思います。これまでに外国人エンジニア採用の実績がある企業であれば、外国人エンジニアを受け入れた経験のある部門への配属が望ましいでしょう。あるいはすでに活躍している外国人エンジニアをチームのリーダーやメンターとしてつけることもおすすめです。初めて外国人エンジニアを採用する場合は、外国人エンジニアの採用や育成に対し理解を示し、協力的な姿勢を持っている部門を選定することが、外国人エンジニアの活躍への第一歩だと感じています。

言語の壁を乗り越える工夫を

廣野
言語の違いは、外国人エンジニア採用を受け入れた際にぶつかりやすい壁だと言えます。言語はコミュニケーションの基盤でもあるため、極端に言ってしまうと「外国人だから伝わらない」とコミュニケーションを諦めてしまう企業がいることも事実です。それではせっかく採用した外国人エンジニアの活躍を期待することはできません。その事態を避けるためにも、例えばオンライン講習や日本語の会話レッスンなど、入社した外国人エンジニアの日本語能力を向上するための施策を講じることも効果的でしょうし、もっと言えば日常的な声かけの際に「短いセンテンスに区切って話す」「単語を平易な言葉に噛み砕いて伝える」などの意識を持つだけでも伝わりやすさは格段に上がります。

大切なのは受け入れ企業側も外国人エンジニア側も双方が「伝えよう」という意識を持ち、きちんと向き合うことです。それが信頼関係の構築につながりますし、心理的安全性が担保された環境ができていくのではないでしょうか。

公用語を英語にする企業も

住山
xseeds Hub経由でこれまで数十名という規模の外国人エンジニアを採用してくださっている企業の中には、開発組織の公用語を英語にしようと動き始めているところもあります。その狙いは、外国人エンジニアが持つスキルや能力を100%発揮してもらえるフラットな組織にしたいという思いです。

組織のグローバル化やD&I(ダイバーシティアンドインクルージョン)推進の観点においても、外国籍人材を組織に迎え入れる前提で多様性を尊重した組織づくりを進める企業は今後増えていくと思います。

>>外国人エンジニアの受け入れについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています

外国人エンジニアを新卒で受け入れる際のポイントは?よくある課題と注意点

外国人エンジニア

外国人エンジニア採用市場の未来

住山
外国人エンジニア採用市場の母集団の大きさ参入のしやすさについて語ってきましたが、高度IT人材の育成に力を入れているベトナムなどは、日本だけではなく欧米諸国からもその技術レベルの高さが評価されつつあります。一般的に現地の給与が日本の給与の1/2の水準になると、オファー金額だけで優秀な外国人エンジニアを確保することは困難になると言われていますが、その未来もそう遠くないのではと感じています。だからこそ、xseeds Hubにお声がけいただく企業には外国人エンジニア採用市場に参入するなら今がチャンスだと伝えています。

その理由が”採用ブランディング”です。例えば同じ出身国の先輩エンジニアがいることや、外国人エンジニアの受け入れや育成のノウハウが企業に蓄積されていることなど、オファー金額やネームバリュー以外の点で優秀な外国人エンジニアにとっての魅力を身につけることで、継続的に優秀な外国人エンジニアの採用をするサイクルができます。

外国人エンジニアを教育し、日本企業へ送り出すxseeds Hubの意義

住山
xseeds Hubという採用プラットフォームには、弊社が運営する「xseeds」という教育事業を通して育成された外国人エンジニアが集まっています。xseedsではハノイ工科大学をはじめとするコンピューターサイエンス部門で各国トップレベルの12の大学と提携し、実践的なITスキルと日本語のカリキュラムを提供しています。

教育から採用、その後の定着支援まで一貫して行う点はxseeds Hubの最大の特徴と言えます。私たちの目的はあくまでも教育した人材が”活躍すること”だからこそ、企業と求職者をマッチングしたら終わりではなく、入社までのフォローや定着支援など長いスパンで企業と外国人エンジニアに伴走します。

xseeds Hubを利用してくださる企業はある意味でスポンサーと言ってもいいかもしれません。スポンサーとして提供していただいた資金は、また新しい可能性を秘めている外国人エンジニアの育成に還元されていく。そのエコシステムを通して、優秀な外国人エンジニアと出会える場がxseeds Hubなのです。

石川
xseeds Hubに限らず、世界に目を向けたからこそ出会える優秀な人材は数え切れないほどいます。外国人エンジニアだからと二の足を踏んでしまう企業がまだまだたくさんいることも事実ですが、ぜひ新しい選択肢へと一歩を踏み出して欲しいと思います。