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国内採用市場の限界と組織のグローバル化という流れ
– これまでに外国人エンジニアの新卒採用の経験はありましたか?
株式会社ペイトナー CEO 阪井 優 氏 (以下、坂井):
いえ、それどころか外国人エンジニア採用も初めての試みです。創業当初から採用活動はリファラルがメインで、業務委託やフリーランスの方々で組織を作っていました。昨年8月の資金調達をきっかけに採用活動に本腰を入れ始めた当初も、中途採用向けの各種媒体を利用したスカウトなどの採用手法が中心でした。ただ、優秀なエンジニアを採ろうと思うと単価も高くなりますし、他社との競争も激しい市場です。そこで争うのは得策ではないと考えていました。加えて僕自身が中長期的な視点で会社のカルチャーを一緒に作っていける新卒採用へ強い思いを持っていたので、創業3年目という早い段階から新卒採用へ踏み切ることに決めました。
– 新卒として外国人エンジニアを採用しようと思うに至った経緯は何でしたか?
阪井:
国内の新卒エンジニア採用市場においては、新卒も中途も遜色ない金額での年収オファーを出すことが当たり前になっている動きを感じていました。加えて大手ベンチャーも次々と外国人エンジニアを新卒で採用する流れが明確にできています。PCさえあれば場所に縛られることなく開発ができますし、それならば世界中の優秀なエンジニアを採用したい、組織のグローバル化を進めたいという思いを持ったのが外国人エンジニア採用へ舵を切った経緯です。
株式会社ペイトナー CTO 三浦 和真 氏 (以下、三浦):
私たちはまだ創業3年目で、これから文化を作っていくところです。新卒採用は入社までのリードタイムが長いので、必要になってから動き出したのでは遅いです。早い段階で投資をしていくことでスケールしていくと思うので、そういう意味でもチャレンジしたいと思いました。
外国人エンジニア組織構築のノウハウと充実したデータベースが導入の決め手
– 今回xseeds Hubを導入するに至った決め手は何でしたか?
阪井:
xseeds Hubを知った段階で、他サービスと比較することなく導入を決めました。運営会社であるSun*さん自体が海外拠点を持っており、1000人規模のエンジニア組織を構築しているというのが最大の理由です。外国人エンジニアを採用するなら、すでにしっかりとした知見やノウハウを持っている会社と一緒に行うのが一番だろうと思ったんです。
– 実際利用されてみていかがでしたか?
阪井:
私たちにとって新卒採用も外国人エンジニア採用も初めての試みだったため、Sun*さんによるサポートが手厚かったことは助かりました。事前の会社説明会でどんなコンテンツを用意すべきか相談させてもらったり、土日に行われる選考会でも面接の空き時間にカジュアルに色々と聞かせていただいたり。マニュアル通りではない対応をしてもらったと感じます。
三浦:
データベースで閲覧できる学生情報が充実しているのもすごく良かったですね。一般的なエンジニア採用媒体で見られる情報は限られていて、面談をしてみないとどんな人か分からないことが多いです。結果的に面談数が増えリソースが取られてしまうというのも課題のひとつでした。xseeds Hubが保有するデータベースでは、成績やインターン履歴・成果物はもちろん、講師からのコメントや本人へのインタビュー動画なども閲覧できます。そのため面接をする前からどんな人物像かも把握できますし、実際面接で話した際にも期待値と大きなズレがなくいい人に出会えたなと感じます。
貪欲な学習意欲と誠実な人柄、日本語能力の高さが魅力
– 今回xseeds Hub経由でベトナム人エンジニア3名が入社決定となりましたが、評価ポイントを伺えますか?
三浦:
評価軸において最も大切にしているのは、ものづくりが好きで、プロダクト志向を持っているかどうかです。新しいサービスを世の中に送り出す上で、エンジニア視点でプロダクト作りに入り込んでいってもらいたいですし、そのような方なら楽しめる環境がペイトナーにはあると思っています。あとは、クレバーさ、誠実さ、好奇心旺盛に物事に取り組む前向きさなども意識しています。もちろん日本語能力のポテンシャルも重要な要素でした。今回入社決定した3名はいずれも評価軸に合う方々に出会えたなという感想です。
学生全体の印象でいうと、スタートアップ志向の方と大手志向の方がはっきりと分かれているなと感じましたね。ただ、みなさん国内で出会える学生と比べても学習への意欲も高く、成果物もしっかり作っていて素晴らしいなと思います。
阪井:
内定を出してすぐにSNSで申請をくれる行動力の高い方や、日本語能力が抜群に高い方、真面目で開発へのモチベーションが高い方など、三者三様で魅力的な方々が仲間になってくれることになりました。
採用と受け入れ体制の構築を同時並行に取り組むことでスピード感を維持する
– 内定から入社までの間にどのような施策を考えていますか?
阪井:
今やっていることでいうと、事前に渡したお題に沿って30分日本語で話してもらうというような1on1を実施しています。お題は「子どもの頃の思い出」のようなものにしていて、彼らにとっての日本語学習になると同時に、こちら側としても彼らのパーソナリティを知れるような機会として設計しています。
三浦:
入社自体は1年半後になるので、チームアサインなどはその時の状況に応じて考えるつもりです。ただベトナムと日本では文化的な違いも大きいと思うので、日本の環境に慣れてもらう期間も必要だと思っています。お互いの結束力を高める意味でも、まずは3名で何かプロダクトを作ってもらうなど研修期間を設けようと考えています。あとは、Sun*さんが内定者向けに日本語教育とIT教育を提供しているので、そこも活用していければと思っています。
阪井:
受け入れ体制という意味では、正直なところまだ追いついていない部分も多いです。生活スタイルも変わると思うので、住宅や携帯電話の契約手続きだったり、スムーズに移住してもらえるようにガイドブックの作成にも取り掛かっています。外国人エンジニアの採用は早い段階で着手しなければならない事柄だからこそ、受け入れ体制の構築と同時並行で行って行くつもりです。そこはSun*さんの力も借りながら、一緒に作っていきたいなと思っています。
会社を伸ばすためには、外国人エンジニアの採用は不可欠
– 今後どのような組織を作っていきたいですか?
阪井:
新卒採用も海外から40-50人規模で採っていきたいと思っているので、必然的に組織自体もグローバル化していく構想は持っています。それは自分たちだけでは実現できない未来だと思うので、今後もxseeds Hubを通して採用活動を進めていくつもりです。同時に会社として英語学習サポートを福利厚生として用意するなど、時が来ればグローバル化へスムーズに移行できるよう準備を進めていきたいと思っています。
– 最後に、外国人エンジニア採用にハードルを感じている企業へメッセージがあればお願いします。
阪井:
逆説的な話ですが、会社を伸ばしたくないなら外国人エンジニアの採用には踏み切らないでくださいと言いたいです(笑)。真面目な話をすると、組織のグローバル化の流れはもう止められない段階まで来ていると思っています。コロナによってリモートワークの文化が浸透してきたからこそ、世界中から優秀なエンジニアを獲得するのも競争率が高くなっています。踏み切るなら今しかないと思ったからこそ、自分たちも早い段階から動き出しました。踏み出したからこそ見えてくる課題もあると思いますし、そこは組織を柔軟に変化させながら対応していければと思っています。