ベトナム現地へ足を運んで気が付いた、外国人エンジニア採用という選択肢

– 外国人エンジニア採用を本格的にスタートされた、時期やきっかけを教えてください。

スタートしたのは 2017年です。その年は、中途採用でハノイ工科大学出身の方を採用し、その後にSun*が運営する、海外トップ大学の学生との選考会で数名の内定を出しました。

きっかけは、服部さん(株式会社Sun* 取締役)と弊社の黒田(株式会社マネーフォワード 執行役員)が知り合いだったことから、「一度、ベトナムを見に来てみませんか?」と声を掛けてもらいました。 そこで、私と都築さん(Money Forward Vietnam Co., Ltd.)の2人で初めてハノイに行きました。実は最初はオフショア開発を検討するつもりで行ったのですが、担当の方から選考会についてのお話や熱意も聞いて「これはやるしかない」と思い、すぐに参加を決めました。

– 貴社にとっては初めての外国人エンジニア採用でしたが、社内への提案はどう進めていかれたのでしょうか。また、xseeds Hub(=選考会)導入の決め手は何でしたか?

ハノイ工科大学はベトナムの理工系トップ大学であり、その学生は日本語も非常に勉強しています。 とてもありがたいなと思って進めましたね。

また、日本人に限りませんが、色んなバックグラウンドのある方だと、「向こうでは◯◯だった」といった固定観念があるので、新卒で入ってくれた方がカルチャーに馴染みやすいといった理由もあります。

あとは、ハノイ工科大学の皆さんは目もキラキラしていますよね。そういった点も含めて、決めました。

xseeds Hub企業事例インタビュー 株式会社マネーフォワード

「日本語を学ぶ、理工系トップ大学」から採用できる

– 実際にご参加いただき、いかがでしたか?

選考会に参加する前は、「2人くらいを採用しよう」と社内で話していましたが、行ってみたら想像以上に良かったんです。その場でCFOに電話して、「数名採用してもいいですか?」と話をして、初年度から採用を決定しました。その世代の方達は大活躍しています。そのうちの1人は、グループ会社のマネーフォワードi株式会社のCTOをやっています。2018年11月入社なので、新卒入社して3年半での就任ですね。

– 大活躍されていて嬉しいです。初めてのご参加以来、xseeds Hubから毎年ご採用頂いていますが、どういった点をご評価して頂いているのでしょうか。

正直に言うと、「トップ大学から採用できる」が1番だと思います。 それに加えて、日本語を学んでくれているというのが更に魅力でしたね。「日本語を学んでいるトップ大学の方」ってそもそも希少だと思うので、その点が1番の魅力ではないでしょうか。

– 外国人エンジニアの採用サービスは他にもいくつかある中で、xseeds Hubにはどういった点で「違い」を感じて下さっていますでしょうか。

ただ単に人材を集客してマッチングするのではなくて、教育から入っている所ですよね。眞田先生(株式会社Sun* 現地教師チームの責任者)のような熱い先生がいますし、選考している学生も皆さんインターンに取り組んでいます。そこまで面倒を見ながら教育まで入り込んでいるのは御社だけですよね。

それに、通常は外国人採用を進めると、色々な国からバラバラと採用するのですが、ハノイ工科大学は纏まって入社してくるので、受け入れ側としては安心します。xseeds Hub以外にも海外に複数の採用チャネルを持っていますが、ハノイ工科大学出身のメンバーは社内で一つのコミュニティとして成り立っていて、脈々と先輩がいるので、フォロー体制が出来上がっています。

外国人も日本人も同じくらいの幸福度にしたい

– ご評価いただき、ありがとうございます。彼らの活躍を後押しするのに、大切にされているお考えや思いがあれば、お聞かせください。

私たちは、外国人も日本人も同じくらいの幸福度にすることを心掛けています。残念ながらそうではない会社が世の中にはたくさんあります。 元々の考え方なのかもしれませんが、前提として、日本語のハンディキャップはありますけど、ハンディキャップがなければ(平等であれば)、彼らは大活躍するはずだと思っています。

だから、「日本語がハンディキャップにならないように受け入れを進めていこう」「外国人エンジニアに対して偏った先入観が無いようなチームに預けよう」ということを意識してきました。贔屓するのではなく、 ハンディキャップを作らないようにするということです。入国のタイミングで一時金を渡したり、銀行口座を作ったり、こういったサポートもすべきですし、サポートが無ければ困ってしまいますよね。

xseeds Hub企業事例インタビュー 株式会社マネーフォワード2

外国人エンジニアの活躍に向けて、社内の受け入れ・育成体制を整える

– 2019年に続き、2022年には2拠点目となるハノイに開発拠点を設立されました。外国人エンジニアの採用をご継続・強化されていく中で、受け入れについてはどういった工夫をされていますか?

初めて外国人エンジニアを受け入れた時は、主に私のCTO室と都築さんのチームで複数名ずつ受け入れるという形にしていました。 CTO室では、先ずはCTO室内の仕事を中心にやってもらい、色んな人と協力しながら経験値を上げていきます。暫くすると、「CTO室を出ても仕事できる」という状態になるので、その後は他の開発チームへ異動する流れを作りました。

開発チームへの受け入れについては、外国人エンジニアの最初の1人が活躍すると、どんどん広がっていきます。ただ受け入れの経験が無いチームについては、外国人エンジニアの中でも日本語能力が高い方を受け入れてもらったりなどの工夫をしていました。中には、それでもうまく進まないこともあるのですが、その場合は、受け入れが慣れているチームに異動するなどして、徐々に広げていきました。

– 受け入れが上手で外国人エンジニアの方が活躍するチームには、どういった特徴があるのでしょうか。

1番は、チームトップの受け入れのキャパシティです。そういったチームのリーダーのもとには、相応のメンバーもいます。また、外国籍に限った話ではありませんが、そういったチームは日本人の新卒を受け入れるのも上手です。少しずつ難易度の高い仕事を与えて成長させることができるチームです。あとは、新卒採用に関わってもらうと受け入れのモチベーションが上がるので、「あなたも決めた子でしょ」と巻き込んでいくことも大事ですね。

外国人エンジニアの受け入れは、日本人と比べて少し難しいかもしれませんが、日本人と殆ど同じです。最初はある程度のフォローが必要で、数ヶ月してやり切った後にはリターンが返ってくるということでしょうね。

実際に、こうした取り組みを継続していくと、社内でMVPを取る人が出てきます。「ちゃんとした受け皿を用意すれば、ちゃんと活躍するんだ」というのは外国人採用を始めてわかったことですね。

外国人エンジニア採用は、1.5倍や2倍ではなく、10倍などで母集団が広がっていく

– グローバル採用へ踏み出すことに、ハードルを感じている企業がまだまだ多く存在していると感じます。最後に、そういった企業に向けてメッセージを頂ければ幸いです。

私たちは国籍に関係なく、世界中から優秀なタレントを集めたい、と思って取り組んでいます。アジアが中心なのですが、それはアジアが1番母集団を集めやすいからです。一部、ハノイ工科大学など特別な大学もありますが、新しい国籍の方が増えてくると、社内ではむしろいいね!となっていますね。

あとは、周りのCTOの方から外国人エンジニア採用についてご相談いただくこともありますが、皆さん、海外に拡げると、どのくらい母集団が広がるかは中々想像ができていないようですね。 1.5倍採用とか2倍採用とか、全くそういったレベルではありません。10倍などで増えてきます。結局、エンジニア採用って、日本人でも苦労します。苦労することは変わらないので、どちらの方向だとよりスケールするのだろうかと冷静に考えるのが良いのではないかと思います。

xseeds Hub企業事例インタビュー 株式会社マネーフォワード3