継続的な採用と他部門への横展開を見据えて外国人エンジニア採用を開始

– 外国人エンジニア採用に目を向けたきっかけは何でしたか?

日比野
元々組織の中にグローバルな人材を増やしていかなければならないという危機感に近いものは抱いていました。日本の人口は減少傾向が続いていますし、現状でもエンジニア採用は非常に厳しい状況が続いています。いつか国内採用だけでは要員計画を達成することが難しくなることは目に見えており、多くの企業がオフショア活用やグローバル人材の採用にシフトしていくだろうと考えています。

しかし、必要に迫られて初めて取り組みを始めるのでは間に合わない、そうなる前に文化が違う多様な人々を許容するダイバーシティな組織を作りたいと感じていました。とはいえいきなり言語も文化も異なる人材を受け入れるにはハードルの高さを感じていた部分もあり、まずは日本語を話せる外国籍人材の採用から取り掛かろうと考えていた中で、xseeds Hubのことを知りました。話を聞く中で、ビザの取得や居住環境の確保など外国籍人材を受け入れる上での現実的な不安を解消するイメージが沸いたので、やってみようという決断に至りました。

– 新卒での外国人エンジニア採用は初めてのチャレンジとのことですが、社内ではどのようなコミュニケーションをしましたか?

日比野
何度も打ち合わせを重ねて社内の懸念を払拭するのに時間をかけました。初めての試みなのでもちろん懸念はいくつか出てきたのですが、もっとも重要視されたのは「継続的に採用すること」「他部門にも横展開すること」でした。外国人エンジニアを採用したのはいいものの、受け入れ部門の中でマイノリティになってしまうと孤立してしまうリスクがあります。そうならないよう、彼らがしっかりとパフォーマンスを発揮し、継続的に受け入れるための体制を作ることが今回xseeds Hubを導入する条件でした。

もうひとつ社内向けのコミュニケーションを円滑に進める上で大きかったのは、尾松が管轄している部門がすでに外国人エンジニアを受け入れており、ある程度受け入れに関する知見やノウハウを持っていたことでした。言語や文化の異なる人材を採用する上で”受け入れ”は不安材料になりやすいところですので、自ら受け入れに手を挙げてくれたり、採用した学生を信頼して預けることができるリーダーやマネージャーの存在は非常に重要だと思います。

尾松
私自身かねてより組織のグローバル化は必要だと感じていたため、自身の部門では積極的に外国籍人材を受け入れており、現在外国籍人材の比率は40%となっています。これが10%だと、異なる意見が出てきたときに”マイノリティの意見”と捉えられる可能性があります。彼らが働きやすい・暮らしやすい心理的安全性を確保するためには40%以上は必要なのではないかと考えています。

xseeds Hub導入事例三井情報社

次世代を呼び込む人材へと成長してほしい

– 選考においてはどのような点を重視していますか?

尾松
これまで何を経験したかよりも、新しいことを意欲的に吸収できるかどうかなどのポテンシャルを重視しています。具体的には、1次面接終了後に2次面接までの課題としてレポート課題を出しているのですが、限られた時間の中でどれだけ真摯に取り組むかなども評価指標としています。

この課題は特に国内学生と外国籍の学生で歴然と差が出るポイントでもあります。国内学生は良くも悪くも100%の状態にしてから次に進む傾向が強いように思いますが、外国籍の学生は何事もまずはやってみてから方向性を修正していこうというスタンスを感じます。間違っていてもいいから、さまざまな方法で試行錯誤しながらなんとしても目標を達成するというマインドは素晴らしいなと思います。特に今回内定をお出しした2名は目標を達成するまでやり切る力や、指示者の意図を汲み取るような思考を持っている点で頭ひとつ抜けているような印象を受けたため高く評価させていただきました。

– 入社後、彼らにどのような活躍を期待しますか?

尾松
エンジニアとしての採用なので技術を極めてほしいという思いもありますが、それに加えて次世代メンバーを呼び込める人材になってもらいたいという期待もあります。彼らは異なる文化的背景を持っており、かつ日本の文化を学ぶ姿勢を持ち合わせてくれている方々です。今後継続的に文化の異なる人材を受け入れていく中で、これから入社する次世代メンバーをハンドリングするキーパーソンに成長していただきたいですし、彼らならそれができると思っています。そして彼らから私たちも学び取ることで、相乗効果を生み出すことができれば嬉しいなと思います。

xseeds Hub導入事例三井情報社

受け入れ企業側が歩み寄り、文化の相互理解を促進

– 今回採用した外国人エンジニアを受け入れるための構想はありますか?

日比野
私たち自身初めてづくしで正解を持っていないので、その時々のベストを尽くしたいと思っています。直近ですと、2025年度の選考会にも現地で参加することが決まっているので、そのタイミングで今回採用した2024年度卒の学生たちのご両親との交流会も実施予定です。この辺りも文化の違いが出るところだと思いますが、xseeds Hubで採用できる学生の多くがベトナムの方で、彼らは家族をとても大事にします。ましてや日本という異国の地へ送り出すご両親のことを思うと、少しでも安心してもらいたいという意図があります。

尾松
入社する外国人エンジニア側に日本文化に順応してもらうのではなく、受け入れる企業側が彼らの文化を理解する姿勢を大事にしたいと思っています。そのためにも現地へ足を運んでコミュニケーションを取る機会は貴重です。

これまで外国人エンジニアを受け入れてきた中で取り組んでいることでいうと、日本人社員自身の言葉で日本の文化を理解・紹介してもらう機会を設けています。具体的には、外国人エンジニアと日本人メンバーが一緒に食事に行き、日本らしい料理について説明してもらいます。普段何気なく食べている料理だからこそ、いざ分かりやすく説明するとなると難しいものです。文化を伝えたり、理解することの難しさを日本人社員にも実感してもらう機会になっているのではないかと思います。他にも、日本語学習の時間を設けて日本人社員にも参加してもらったりもしています。そこで難しい日本語を分かりやすく伝えるように工夫してもらうことで、普段のコミュニケーションの意識にも変化が現れます。

xseeds Hub導入事例三井情報社

お互いがリスペクトすることで、言語の壁は乗り越えられる

– 今後の外国人エンジニア採用についてお聞かせください。

日比野
当社の責任は、今後2年3年とxseeds Hub経由で採用した方々が活躍できる地盤をしっかり築くことです。そうして少しずつ他部門へも広げていき、組織のグローバル化を進めたいと思っています。

– 最後に、外国人エンジニア採用に興味を持っている企業へメッセージをお願いします。

尾松
外国人エンジニアを採用する上でハードルに感じるのは言語の違いかもしれません。しかし、たとえ日本人であっても国語のテストで全員が100点を取れるわけではありません。それでもコミュニケーションを取ることはできます。コミュニケーションの本質はお互いが理解しようとする姿勢そのものにあると思っています。お互いが寄り添い合うことができれば、彼らに期待以上のパフォーマンスを発揮してもらえるのではと思います。

日比野
もし、当社を含め外国人エンジニア採用経験企業の話を聞いて「自分たちもやってみよう」と共感してもらえるなら、ぜひチャレンジしてみてほしいです。しかし、もし中途半端な気持ちであるなら、むしろやめた方がいいとさえ思います。採用とは、採用した人の人生を背負うことでもあるからこそ、覚悟を決めて取り組んでいただきたいなと思います。覚悟を持って取り組んだ上で、お互いをリスペクトする姿勢を持つことができるなら、成功につながるのではと考えています。