目次
ダイバーシティ推進とグローバル展開を見据えた外国人エンジニアの新卒採用
– 外国人エンジニアの新卒採用へ取り組み始めたきっかけは何ですか?
柴田
経験者採用の外国籍人財や、日本に留学している外国籍人財の雇用は2019年ごろより力を入れ始めました。背景にあるのは、組織のダイバーシティ&インクルージョンを推進し、外国籍人財と女性社員の割合を全体の50%以上にするという数値目標を設定したことでした。そうしたなか、エージェントからの紹介やこれまでの採用活動に加えて更なるアクションを検討していたタイミングでxseeds Hubをご紹介いただきました。
石井
もうひとつの背景としては、今年4月の社名変更があります。(※取材当時2022年8月)これまでの「ユニシス」というブランド名はグローバルで使用する際に制限があること(*)、そして私たち自身がボーダーレスな視座で唯一無二のブランドを築くために次なるステージへ出発する覚悟を示す時だと考え、新たな社名「BIPROGY」に変更することにいたしました。日本国内の枠にとらわれずグローバルな視点で事業を展開していきたいという想いの現れでもあります。
(*)米国Unisys corporationと業務提携の都合、日本国内で使用していた「UNISYS」ロゴは海外では使用できない制約がありました。BIPROGYに社名変更後も業務提携の関係は変わりなく、Unisys Corporation製品の日本国内での販売は今後も当社が継続して行います。
– 数ある外国人エンジニアの新卒採用サービスの中からxseeds Hubを導入いただけた決め手はなんでしたか?
石井
他社のサービスと比較検討した際に大きな違いを感じたのは、大学と提携して実践的なIT教育と日本語教育を提供するところから日本企業への就職まで一貫して支援している点でした。学生と深く長い関わりを持っているからこそ、スキル感や人柄まで細かく把握されているという印象でした。またそれによって当社が求める人財要件に合う人財を紹介してもらえることができるのではと考えました。
柴田
加えて採用から入社後まで他社事例を踏まえた丁寧なフォローをしてもらえる点も魅力でした。外国人エンジニアの新卒採用の場合、内定から入社まで1-2年かかる場合が多いですが、その間にビザ取得に向けた準備や手続きのフローまで体系立てられたアドバイスをいただけるのはとても助かっています。
人財要件に合う学生を繋げてもらいミスマッチが軽減
– 初めての外国人エンジニアの新卒採用へ取り組む上で、社内理解のハードルはなかったですか?
石井
ありましたね。国内の新卒採用活動では担当職務ごとにコースを分けて母集団形成、選考などを行い、詳細な配属部署は入社後に決定しています。一方xseeds Hubをはじめとする外国人エンジニアの新卒採用の場合は、いわゆるジョブ型雇用に近いアプローチとなります。そのため配属ポジションを明確にして求人票を作成する必要があり、配属部署からより細かい人財要件などをヒアリングするという工程が必要になります。
例年の新卒採用とは異なるプロセスや採用基準を設けることに対して理解を得ることがハードルになりました。そこで、すでに経験者採用の外国人エンジニアを受け入れている実績があり、外国籍人財の採用に対して理解のある部署に声をかけて協力を仰ぎました。
– 人財要件から考えられたとのことですが、xseeds Hubを通してどのような人財と出会えることを期待していましたか?
石井
高いIT技術力と日本語能力を兼ね備えた人財に出会うことは期待していました。その前提がある上で、配属部署ごとにJavaが使える方であったりフルスタックで活躍することを志望する方であったりと各ポジションの人財要件に沿った人財をピックアップして紹介していただけたので、ミスマッチは少なかったです。
柴田
新卒採用イベントでありつつ、感覚的には経験者採用のエージェントに近いかもしれませんね。こちら側からの要望を汲み取った人財を繋げていただいたと感じています。
予想を超えた応募数で5名の入社決定
– xseeds Hubへ参加するにあたって、不安に感じていた点はありましたか?
石井
新卒採用の採用活動は、企業から学生へのプロモーションが非常に大事になります。当社は連結で約8,000名の従業員が在籍しており、ある程度の規模の会社ではありますが、学生へのプロモーションは国内の採用活動においてもあれこれと頭を悩ませてきている部分です。それが外国人エンジニアとなると、どのくらいの数の方が当社へ応募してくれるのだろうという不安はありました。
柴田
国内の新卒採用とプロセスが大きく異なるというのも不安点のひとつでしたね。国内の新卒採用だとインターンシップで母集団を形成するところから始まり、数ヶ月という長い期間かけて判断をします。一方xseeds Hubは選考から内定までが2日間という短い期間で行います。経験したことのないスピード感での選考でうまく採用できるのだろうかという不安はありました。
– 実際にご参加されてみていかがでしたか?
石井
合計で42名という予想よりも多い数の学生に応募していただけて、びっくりしましたね(笑)当社から募集ポジションを多く提示したのも要因のひとつだと思いますが、それに加えてxseeds Hubの営業担当の方や現地のコーディネーターの方が、我々の事業や職務内容を噛み砕いて伝えてくださったからこそだと思っています。
柴田
今回5名の入社決定という成果につながったのも、学生との間に入ってコミュニケーションを取っていただけたことが大きいと感じています。
評価ポイントは高い技術力の土台と人となり
– xseeds Hubで出会った学生の印象をお聞かせください。
柴田
現地のトップ大学でしっかりと教育を受けているという土台があるので、スキル面や技術的なバックボーンの点は信頼を置いていました。そのため面接の30分間では人となりにフォーカスしてお話ができたことはよかったと思います。あとは学生側から資料を用いたプレゼンテーションをしてもらえるのも、効率的に時間を使えたという印象です。
石井
今回内定をお出しした方々は、素直さ・勉強熱心・配慮と推進という観点から評価させていただきました。これは外国籍人財に限らず、当社が新卒採用において大事にしている人財要件の判断基準です。加えて、ネイティブではない日本語という言語でも積極的にコミュニケーションを取る姿勢などが見えた点も大きなポイントでした。
– 国内の新卒採用活動と比べて異なる点はありましたか?
石井
最も感じたのはキャリア観の違いでした。国内の新卒採用で出会う学生と比べると中長期的なキャリアを持ち合わせていない方が多かった印象です。ネガティブな意味ではなく、国内の新卒採用活動とは異なる評価基準を設定しなければならないというのは感覚を掴みづらい点ではありました。
柴田
そこに紐づくかもしれませんが、国内の学生向けに伝えている訴求ポイントが刺さらないというのはありました。長く安心して働けることや育成の制度が整っていることなど、同じ会社で長く働き続けることが前提の要素よりも、その会社でどのような技術を身につけられるかを重要視する印象を受けました。どのような点を訴求ポイントとして伝えるのかは、当社としても試行錯誤を続けていかねばならない領域だと感じています。
“同期”コミュニティと中長期的なキャリアパスへの支援体制
– 入社までのフォローなどはされていますか?
石井
月に一度の内定者全員との全体ミーティングに加えて、それぞれの配属先の部署を交えた個別面談を定期的に実施しようと考えています。全体ミーティングでは内定者の方にテーマに沿った発表を日本語で行ってもらい、それに対するフィードバックをするという形を取っています。ITの知識やスキルに関してはSun*(xseeds Hub運営会社)さんの方で研修やインターンを実施していただいているので、面談では生きた日本語を身につけてもらうこと、ネイティブの我々と会話することでご自身のレベルを把握してもらうことをメインの目的に据えています。
柴田
今年の10月には、今回xseeds Hub経由で入社予定の外国人エンジニアと同じ年度で入社する国内内定者の内定式がありますので、そこにも参加していただく予定です。(※取材当時2022年8月)外国人エンジニア同士だけではなく、国内の内定者も含めた”同期”という横のネットワークを作ることで、入社後の壁にぶつかった時などにお互い助け合えるような環境を作れればと考えています。
– 入社後の受け入れ体制について構想はありますか?
石井
当社の人財戦略として、自律的・主体的に自身のキャリアを考え、成長できる社員の育成を進めています。例えば将来的に専門性を突き詰めスペシャリストとして活躍するのか、組織長のようにマネジメントのスキルを身につけるのかなどです。いずれの場合も、本人が望むキャリアパスを実現していくために、いかにして当社の制度を整えていくかというのは、入念に議論を重ねて準備を進めていきたいです。
柴田
入社後のフォローに関しては、我々採用マネジメント室だけではなく、人財開発や組織開発、ダイバーシティ推進などを担当する人事部他室も密に連携していくつもりです。今回xseeds Hubで出会った学生やこれから出会う学生たちの存在が、当社の組織風土を変えていくことになるだろうと期待しています。
丁寧なフォローがあったからこそ一歩を踏み出せた
– 今後も外国人エンジニアの採用は続ける予定はありますか?
柴田
今回xseeds Hub経由で入社予定の学生を受け入れる部門では、「全ての組織にひとり以上の外国籍人財を受け入れる」という中長期的な方向性が示されていることもあり、今後も外国籍人財の採用は継続していこうと考えています。また当社が目指すビジネスエコシステムやデジタルコモンズの世界観を実現するためにも、国内に閉じた組織ではなく、よりグローバルに展開していく必要があると考えています。異なる価値観がイノベーションを作り出す組織づくりのためにも、ゆくゆくはエンジニア職だけではなく、他の職種においても外国籍人財を採用していきたいですね。
石井
今回のxseeds Hubへの参加で、外国籍人財の採用について情報を得ることができたと感じています。それを足掛かりにして、ダイバーシティ&インクルージョンが実現できる組織体制の構築を進めていきます。
– 最後に、外国籍人財の採用に踏み切れない企業の方へのメッセージをいただけますか?
石井
xseeds Hubのようにしっかりとしたフォローをしてもらえるサービスだったからこそ一歩を踏み出せたと思っています。当社も試行錯誤している段階ではあるのですが、一歩を踏み出さないと何も変わらないのは事実です。ぜひ他の企業の方々も、ともに歩みを進めていただけると嬉しいです。