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エンジニアの面接で評価軸にばらつきが出る原因
エンジニアに限った話ではありませんが、面接官によって評価軸にばらつきが出てしまうという課題はよく耳にします。これには2つの原因が考えられます。
原因1:候補者を感覚で判断してしまっている
原因2:質問に抜け漏れがある・深掘りができていない
原因1:候補者を感覚で判断してしまっている
ひとつは、面接官の感覚で面接の評価をつけてしまっているケースです。「言語化はできないが、なんとなくいい候補者だと思う」など面接官のフィーリングで選考を通してしまうこともあるのではないでしょうか?
これは面接で何を評価するべきかが共通項として整備されていないことが要因だと考えられます。
原因2:質問に抜け漏れがある・深掘りができていない
聞かなければならないことが聞けていないまま評価をつけてしまったり、回答を深掘りすることなく次の質問へ移ってしまったりなども評価軸にバラつきが出る原因として考えられます。
こちらも面接で何を評価するべきか、それはどんな質問から判断できるかを整備することで解決することができます。
エンジニア面接の評価項目設計3STEP
前項で紹介した2つの課題を解決するには「面接で何を評価するべきか」と「どんな質問から判断できるか」を言語化し、評価項目を設計することが有用です。評価項目を設計する手順を3STEPで解説します。
STEP1 自社が求めるエンジニアのスキル・能力を書き出す
”エンジニア”とひとことでいってもどのようなエンジニアを求めているのかは企業によって違いがあります。自社が求めるエンジニアのスキルや能力、カルチャーフィットで重要視している点を書き出してみましょう。これが評価項目のベースになります。
例えば、評価項目は大きく以下の3つに分類できます。
①専門的スキル
②ポータブルスキル
③マインドセット
それぞれについて具体例を交えて説明します。
①専門的スキル
専門的スキルは、特定の職種や業界に依存したスキルや専門的な知識を指します。エンジニアの場合は、設計・コードのレビュー経験や中心メンバーとして開発した経験があるかなどエンジニアとしての技術レベルを指します。またフィンテックやメドテックなど特定の業界を基盤とした事業を展開している企業の場合は、その業界に関する知識や経験も加えます。
専門知識を必要とする項目であるため、エンジニアとしての開発経験が豊富で開発組織の構築にも携わっているような、CTOやEM(エンジニアリングマネージャー)に協力して書き出すことをおすすめします。
②ポータブルスキル
職種や業界にとらわれない、パフォーマンスを発揮する上で重要なスキルを書き出します。チームマネジメント、課題解決能力、コミュニケーション能力などが該当します。
③マインドセット
業務を遂行したりキャリアを築いていく上での価値観や考え方を指します。これは優劣をつけるというよりは、自社のカルチャーと合うかどうかを重視して設計します。
例えば自主性やモチベーションなど、組織内でハレーションとなるリスクを見極めたい場合に設定するとよいかもしれません。
STEP2 それぞれのスキル・能力をレベル分けし、点数を付与する
それぞれの評価項目が決まったら、次に各項目をレベル分けします。以下にITスキルをレベル分けする際の一例を記載しますので、参考にしてみてください。
Lv.1 | エンジニアリングに関する最低限の知識を身につけている |
Lv.2 | サポートを受けながらであれば実装を完了できる |
Lv.3 | 開発チームの中心戦力として,設計やコードのレビューができる |
Lv.4 | 数名規模のチームマネジメントができ、障害対応で陣頭指揮が取れる |
Lv.5 | 技術的な責任を負う立場として複数のチームを指揮することができる |
レベルに応じて点数を付与することで、面接における定量的な評価軸として活用することができます。全体的に点数が高い人であれば文句なしで選考通過となるでしょうが、大切なのは各項目に関して必要なレベルを満たしているかどうかの基準を設けることです。
STEP3 スキルや能力を評価する質問例を考える
質問のパターンを定めておくことも、面接の評価を一定にする上で役立ちます。以下にエンジニアの面接における質問例をいくつか記載します。
▼質問例1
基本質問 | 今まで設計作業に関わることがあったと思いますが、どのような機能を担当しましたか? |
深掘り質問 | ・それは新規の機能ですか? ・どのくらいの工数の設計を担当しましたか? |
▼質問例2
基本質問 | 今まで詳細設計を担当した中で最も複雑だった機能を教えてください |
深掘り質問 | その状態遷移にはいくつぐらいのステップとステータスがありましたか? |
気をつけていただきたいのは、ただ用意した質問を聞くのではなく「候補者の回答を予測しながら質問すること」です。予測した回答とのズレに基づいて点数をつけることを意識すると、面接でどのように評価すればよいかをイメージしやすいかもしれません。
コミュニケーション能力など直接的な質問では判断することが難しい評価項目もあるので、面接全体のやり取りから判断する場合もあります。
エンジニア面接で気をつけること
次に、エンジニア面接という時間を有意義なものにするために気をつけるべきポイントをいくつかご紹介します。エンジニアに限らず、面接を行う上で大切なことをいくつかピックアップしているので、今一度面接での対応を振り返ってみてはいかがでしょうか。
事前に必ず履歴書や職務経歴書に目を通す
候補者の履歴書や職務経歴書には事前に必ず目を通し、エンジニアとしての経験値や技術レベルをある程度予測しておきます。
また履歴書や職務経歴書に記載されている内容を重複して質問すると、候補者からあまり良い印象を持たれないので注意しましょう。
身だしなみを整える
清潔感のある服装や髪型の方は候補者に好印象を与えます。服装が自由な企業であれば必ずしもスーツを着用する必要はありませんが、帽子はかぶらない・寝癖を整えるなどは最低限意識するべき身だしなみかもしれません。
良識的な態度を心がける
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、リモートでの面接を導入する企業も増えています。リモート面接の場合で気をつけていただきたいのが、候補者の話を聞く際に視線をカメラから外してしまうことです。候補者に対する印象を左右しかねないので、カメラの方を向きながら話をするのがおすすめです。
他にも頬杖をつく、タメ口で話すなども候補者にネガティブな印象を与えかねないので気をつけましょう。画面共有する際はセキュリティに配慮することが大切です。
質問は簡潔に行う
面接という限られた時間の中でさまざまな評価項目について質問をしなければならないため、ついつい質問が長くなってしまうことがあります。
しかし長文での質問は本来の回答とズレてしまう場合があるため、グッとこらえて質問は簡潔にすることを意識してみてください。
候補者の話にしっかりと耳を傾ける
面接でついつい盛り上がってしまい、気づけば面接官の方がたくさん話していた!という心当たりがある方もいるのではないでしょうか。自分や企業に関する情報を提供したり、意向上げのために時間を使うことは大切ですが、冗長になり過ぎないように注意が必要です。
面接での評価を誤らないためにも、候補者の回答にしっかりと耳を傾けるよう心がけましょう。
面接官は意向上げの役割も担っていると意識する
ここまで面接での評価について言及してきましたが、候補者の意向上げも面接官の大切な役割です。評価の高い人材に積極的に働きかけるのはもちろんですが、設定した評価軸に合わない人材であっても誠実に対応しましょう。
面接は企業側が候補者を評価するのと同時に、候補者側が企業を評価する時間でもあります。
エンジニア面接官育成のポイント
最後に、エンジニア採用の面接官を育成するポイントをご紹介します。
適性のある人材を選ぶ
まずは面接官としての適性がある人材に面接してもらうことが重要です。エンジニア採用における面接官の適性は以下のような要素が挙げられます。
・エンジニアリングの知識と経験を持っていること
・面接のフローや決まり事に則った面接ができること
・自社の魅力を自分の言葉で伝えることができること
エンジニア採用は専門性の高い領域であるため、基本的にはエンジニアに面接してもらうことが理想です。
面接のフォーマットを共有する
面接のフォーマットを準備しておくと、面接官育成に活用ができます。フォーマットの項目例は以下のようなものが挙げられます。
・面接官の役割
・面接での注意点
・面接の事前準備
・スクリプトや時間配分
・会社説明のポイント
・面接での質問例
この記事で解説してきた内容と重なる部分も多いので、フォーマットづくりに活かしていただければと思います。
まとめ
技術レベルを見極めるのが難しいエンジニア採用の面接のポイントについてお伝えしてきました。他者を評価することにハードルを感じる人もいるかもしれませんが、記事でご紹介したような定量的な評価軸を作ることで、候補者も企業も納得感のある評価につながります。エンジニア面接の評価軸にブレを感じている方は、一度見直してみてはいかがでしょうか。