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スピーカー紹介
株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインとは
トークテーマ①「外国籍人材採用が決まったら」
広瀬
ひとつ目のトークテーマは「外国籍人材採用が決まったら」です。外国籍人材を採用することが決まった際、どのような準備をされたのかお聞きできればと思います。
まずは、御社の外国籍人材採用の実績について伺えますか?
昨年11月にはじめての外国籍人材が入社し、即戦力として活躍
越田
23卒がはじめての外国籍人材の採用・受け入れで、3名が昨年(2023年)の11月に入社しました。24卒に関しても3名、25卒に関しては2名の採用が決まっている状況です。
23卒の3名に関してはコロナの影響やビザ審査遅延の関係もあり、11月にご入社いただいたのですが、最初の1ヶ月はベトナムからオンラインで勤務を開始いただいて、12月に入国をいただいたという流れでした。
24卒、25卒に関しては9月から10月頃の入社を考えております。
広瀬
入社したての彼らの様子はいかがですか?
越田
受け入れの対応をしている時は、私生活の基盤をどう整えたらいいのかや、どうサポートするのかなど不安がありました。
ですが、実際にエンジニアとして業務についていただいている様子を見ると、大学で専門的なことを学びスキルのある方たちということもあり、即戦力として活躍いただいていて安心しています。
最初は不安だった日本語力に関しても、ご入社いただいてからいろんな社員と交流することによって、さらに伸びています。
糸井
入社からしばらくは毎日出社してもらい、先輩社員とのOJTを実施しています。先ほど社内で、担当している先輩社員に話を聞いたところ、来月から他社とのやり取りもメインメンバーとして入ってもらうと話していました。
広瀬
外部パートナーとのやり取りでしょうか?
糸井
そうです。
広瀬
他社との会話の場でもやり取りができるレベルの日本語力ということでしょうか?
糸井
流暢かと言われるとまだまだではありますが、お互いゆっくり話をすれば基本的には問題ないレベルです。
採用計画の段階から現場部門長を巻き込むことが肝要
広瀬
外国籍人材の採用に取り組むにあたって最初のハードルとも言えるのが受け入れ現場の巻き込み方かと思いますが、御社の場合はいかがでしたか?
糸井
そもそも当社の新卒採用は総合職のみでの採用がメインだったのですが、プロダクトの内製化を進める3ヵ年計画が発足したことで、ここ数年はエンジニア職として学生さんを採用しようという方針へと転換してきました。
その段階から、エンジニア職の受け入れを担当するシステム部門の上位レイヤーの社員と人事が密に協力関係を築き、面接や会社説明会からずっと一緒に並走してきていたという背景があります。
エンジニア職を採用し始めた当初は、他の多くの企業と同じように国内の新卒採用から始めました。
しかし、優秀な学生の採用は厳しいという現状があり、システム部門側から「海外人材の採用ができないか」という話が上がってきたのが、今回の外国籍人材採用に踏み切った経緯です。
それを踏まえて、海外人材採用の場合は特に、可能な限り採用計画の段階から部門長レイヤーの社員に入ってもらうことをおすすめしたいと思います。
例えば人事側から現場に対して「国内の採用が厳しいので、海外の優秀な人材を採用しましょう」と働きかけた場合、受け入れ部門の上位レイヤーが承諾したとしても、担当者からすると「負荷がかかるな」や「言葉は大丈夫なのか」、「優秀でも教育はどうすればいいのか」のような不安が先に立ってしまうかと思います。
さらに、どの企業でも同じだと思いますが、システム部門のエンジニアは多忙な方たちが多いので、可能な限り早い段階で現場も巻き込んだ上で採用計画を立てることが必要なのではないかと実感しています。
初めての外国籍人材採用であれば、労務との連携は入社半年前が目安
糸井
労務など人事内の連携という点で振り返ってみると、もう少し早く連携を始めても良かったと思っています。
越田
そうですね。経理部門や給与チームとの連携も必要になってくるので、 外国籍人材の採用が決まったら、入社に向けて連携を取ることは非常に重要だと思います。
広瀬
今回はじめて外国籍人材の受け入れを経験されたことを踏まえて、どのくらいのタイミングから連携すると良さそうだと考えますか?
糸井
外国籍人材採用の最初の年だと仮定するなら、半年前でもよかったかもしれないですね。
特に当社の場合は、若干ではありますが規程の見直しも行いましたので、新規程の承認を入社までの2ヶ月でなんとか間に合わせるために調整する必要がありました。
それを思うと、入社の半年ほど前までには必要な対応の洗い出しはしておいた方が良かったのかなと思います。
2年目以降はある程度感覚を掴めていますし、そこまでイレギュラーな事象は起きない気もするので大丈夫かと思いますが、1年目は想定していないことが起きたりもするので、早ければ早いほど良かったかなと感じています。
人事から現場への外国籍人材採用の提案は”データ集め”がポイント
広瀬
御社の場合は、外国籍人材採用の提案自体が現場側から持ちかけられたとのことですが、人事から現場へ提案するパターンだとどのように交渉すれば良いか、アイデアはありますか?
糸井
既に国内でエンジニア採用を実施されている会社さんであれば、国内のエンジニア採用は非常にハードルが高いというのは実感されているのではないかと思います。
その感覚を可視化して説得材料にするためにも、まずは国内のエンジニア採用が厳しいというデータを集めてみるところから始めるのが良いのではないでしょうか?
例えば、そもそも日本人のエンジニアのパイが少ない上に、大手企業がどんどん給与や条件を上げて優秀な層を採用してしまっているというデータなど。
弊社の場合も、会社に対して外国籍人材採用の話を通した際は、日本での少ないパイに対してお金や人材を大量投資するよりも、長期的な視点で見れば、より優秀な人材をより効率的に採用して育てる方がコスト的にも良いのではという話をしました。
この辺りが正攻法なのかなという気はしています。
トークテーマ②「はじめての外国籍人材受け入れを振り返って」
広瀬
続いてのトークテーマは、実際に外国籍人材の受け入れでどのような準備や施策を実施されたのかについて伺えればと思います。
仕事でパフォーマンスを発揮してもらうため、生活基盤を整える
越田
受け入れにあたってまず大切にしたのが、仕事でパフォーマンスを発揮してもらうためにも、まずは生活の基盤を整える必要があるということでした。
そこから逆算して、規程の見直しや住居の手配、支度金についての検討を進めていきました。
その中でも多くの時間を割いたのが住居の手配でした。
シェアハウスか1人暮らしかという選択肢から考えはじめ、最終的にはご本人が1人暮らしを希望されたので、いくつか会社側から物件をピックアップして、ご本人に選んでもらって、契約をしてと進めていきました。
1人暮らしする上での家具や家電をどうするかところもサポートしたり。
あとは、社宅使用料や家具、家電を揃えてもらうための支度金を用意したりなどのサポートのために規程を更新したりもしました。
外国籍人材向けの規定を作成
広瀬
規程について、もう少し具体的にどのような点で見直しが必要だったか教えていただけますか?
越田
外国籍人材を採用するのが初めてということもあり、当社にはこれまで外国籍人材の方を対象とした規程が存在しなかったため、新たに作る必要がありました。
ベースにしたのは転勤規程や赴任規程です。
社宅使用料や支度金などは、国内の新卒採用だと適用されていないため、新たに項目を追加する必要がありました。
特に社宅使用料は、1年目は本人負担を50%、2年目から4年目は80%、5年目以降は100%という比率で、年次によって本人負担の割合を変えています。
広瀬
外国籍人材が帰国する際の旅費の負担などは検討されましたか?
越田
そこも規程を考える際に悩んだポイントではあったのですが、現段階では費用の負担という項目は設けておりません。
ただ、今後も採用を続ける中で、一緒にベトナム現地へ訪れた際にご家族と会っていただけるようなタイミングを設けられたらとは考えています。
居住環境手配の意外な盲点
広瀬
居住環境の手配についても詳しく教えていただけますか?
糸井
住居に関しては、実は最初は憶測で「シェアハウスがいいだろう」と準備を始めていたんです。
当初は社宅使用料のことを検討していなかったこともあり、シェアハウスの方が家賃も抑えられるし、ベトナムの方は他の人と一緒に食事をするのが好きだとも聞いていたので、同時入社の人たちが揃っている方が嬉しいのではという思い込みがあったんだと思います。
いざ本人たちに希望を聞いてみると「1人暮らしがいい」という回答だったので、そこから改めて水道や光熱費の契約をどうすればいいのかや、家具の揃え方などの検討を始めました。
シェアハウスであれば水道・光熱費や家具・家電が最初から含まれている物件が多かったので、そこも盲点でした。
越田
家具や家電に関しても、会社で全て手配するのか、本人たちが好みに合わせて購入するのかなどを本人たちに希望を聞きながら決めていきました。
最終的には、費用は支度金から捻出しつつ、入国したその日からの生活に最低限必要な冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、布団を会社側で揃えました。
その他で生活していく中で必要だと感じたものは、それぞれで揃えてもらうのがいいだろうということで、別日に買い物の機会を設けました。
それこそSun*さんからご紹介いただいたGTNさん(*)の買い物サポートサービスを利用させていただいたり、年齢の近い社員と一緒に買い物に行ってもらいましたね。
糸井
先輩社員が、ドン・キホーテやニトリなどを社用車で回ってくれたみたいです。
(*)株式会社グローバルトラストネットワークス:xseedsが提携する、外国籍人材の渡日サポートサービス提供企業
入国サポートを提供するGTNとの連携
広瀬
御社は今回の受け入れに関して、xseedsが提携する外国籍人材の渡日サポートサービスの株式会社グローバルトラストネットワークス(以降、GTN)もご利用いただいたかと思いますが、具体的なサポート内容を伺えますか?
越田
口座開設とクレジットカードの申し込み、SIMの契約、あとは住民登録と買い物同行などをお願いしました。
GTNさんに在籍している、ベトナムご出身で日本での生活が長い社員の方にサポートいただけたので、本人たちも安心して入国の日を迎えられたと思いますし、入国してからのサポートも受けられるので、私たちも安心してお任せできました。
異文化理解の研修は、既存社員と新入社員双方向で行う
広瀬
外国籍人材の受け入れにあたって研修も実施されたとのことですが、その点について伺えますか?
越田
はい、新入社員と既存社員それぞれに研修を行いました。
受け入れるにあたって大事にしたかったのが、私たち既存社員も文化の違いを理解する必要があるという点でした。
そのため、受け入れ部門の社員に向けては約3時間かけて異文化理解の研修を行い、その他の社員には研修の録画データを展開しました。
当たり前だと思っていたことが文化によってこれほど違うのかということを改めて気付かされましたね。
特にコミュニケーション面において、やはり日本人特有のストレートにものを言わない価値観が、外国の方からすると分かりづらいということだったり。
新入社員の方たちに向けても、日本はこういう文化や特色を持つ国で、それに基づいてビジネスマナーや仕事の進め方が築かれているということを研修でお伝えしました。
ただ、日本の新入社員の子たちと比べて、やはり言語面でのハードルは感じました。どこまで伝わっているかが把握しづらかったり、通常のスピード感ではコミュニケーションが取れなかった部分もあったりしたので、ご入社いただいた時に一気に詰め込むのではなく、日本語の上達レベルを見ながら繰り返し伝えていく必要があるなと感じています。
今年(2024年)の4月に国内の新卒社員が入社をしてくるタイミングで、今よりも日本語力が上がっているであろう彼らも一緒に、ビジネスマナーなどの研修を受けてもらおうかなと考えています。
広瀬
3時間にわたる研修を受けてもらったとのことですが、研修の前後で既存社員の方々の考え方や行動に変化は見られましたか?
越田
話すスピードや簡単な言い回しへの変換、口頭だけではなくテキストできちんと補足するなど、コミュニケーションに気を遣っている場面をよく見かけるようになりました。
トークテーマ③「内定期間中の成長促進」
広瀬
最後のトークテーマは「内定期間中の成長促進」についてです。xseeds Hubでの採用は、内定から入社まで1-2年かかることが多く、内定期間中も技術や日本語力を伸ばすための施策を実施することが特徴ですが、御社の場合はどのような取り組みをされましたか?
越田
毎月の面談を通じてコミュニケーションを取るのと合わせて、入社に向けて日本語力を上げていくための取り組みを行いました。
糸井
最初の頃は面談にもSun*さんの通訳の方にも入ってもらいつつ、例えば「行ってみたい日本の観光地」などのプレゼンテーマに対して、2週間〜1ヶ月ほどかけて準備をしてもらい、面談の場で日本語でプレゼンしてもらうというのを半年くらい続けたかと思います。
日本語力が多少上がってきたかなというタイミングで、プレゼン形式からフリートークへと切り替えてみたのですが、シャイな方が多いこともあって少し難しかったようでした。
しばらくはお題を決めてあげた方が勉強にもなるし、本人たちのアウトプットの場にもなるかもしれないと感じています。
広瀬
その他、日本語力の向上のために何か施策はされましたか?
糸井
入社までに日本語能力試験(JLPT)(*)のN2は取得してもらうようにしていました。
(*)JLPTとは最もポピュラーな日本語能力の資格で、N2は「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」と定義されています。
参照:https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html
メッセージ
糸井
私たちも最初は外国籍人材の受け入れに対して「何をしていいのか分からない」という不安を抱えていましたが、いざ入社した本人たちと話をすると、改めて採用してよかったと実感します。
大変なことも多くはありましたが、自分たちの知見にもなりましたし、迷われている方は、Sun*さんにご相談すればなんとかしてくれると思いますので、ぜひご検討いただけるといいのかなと思っています。
越田
受け入れの準備を進めていく中で、わからないことがあればなんでもSun*さんやGTNさんにサポートしてもらえますし、本人たちとも話をしながら、自分たちも色々と勉強しながら進めていければ大丈夫ですので、ぜひ安心していただければと思っております。
入社してからの様子を見ると、日本語力もどんどん伸びてますし、活躍しているよという部署からの声も聞いていて、本当に対応してよかったなと思いますので、不安もあるかと思いますが、安心していただければと思います。
Q&A
Q1
小職もベトナム人を部下に持った時がありますが、基本的に真面目でした。只、始業前5min前には自席に着座している事を指摘した際、怪訝な顔をされました。始業迄に間に合えば良いだろうとの考え方だった様ですが、仕事に臨む姿勢の為だと説明をして、結局は従って貰いましたが、心から納得したとは思っていません。令和の時代 その様な考え方は古いのか?パワハラに当たるのか?如何でしょうか?
→
越田
やはり国によって文化の違いはあるので、私たちからすると当たり前なビジネスマナーや、これはできて当たり前だよねというところもあるかと思いますが、まずは国としての文化が違うってところを、既存社員と新入社員双方が研修などを通して理解するということが大切なのかなと考えております。
Q2
トークテーマと違うかもしれませんが…外国人の採用で、新卒採用と中途採用で取り組みは大きく変わるのでしょうか?
→
糸井
国内外問わずですが、基本的には新卒採用の場合は育てる前提で採用しています。中途採用の場合は一定の日本語力や技術力は求めますので、通常の新卒、中途の違いとあまり変わらないのかなと思います。
Q3
外国人が家を借りるとなると保証人の問題等あり、なかなか難しいことがありますが、そこは会社が保証人になるか、もしくは会社で借りて、社宅扱いにしたのですか?
→
越田
はい、社宅扱いにして、家賃に関しては給与から天引きをして支払っていただいてるような形になります。
Q4
入居時のライフライン対応について、空港出迎え・ガスの開通等もGTN様の同行サービスをご利用されていらっしゃったのでしょうか。
→
越田
はい、空港の出迎えもGTNさんとともに同行しました。
糸井
「ようこそGDOへ」と書いた横断幕を持って、結構な人数でお迎えに行きましたね(笑)
「待ってたよ」という気持ちと、「日本でも大丈夫だ」と思ってもらえるようにっていう意図で作成しました。
空港へは採用に関わったメンバーで早朝の成田空港へ行き、一通り挨拶をした後にGTNさんに引き継ぎました。
Q5
地方企業にて外国籍人材を採用した場合、SNS等を通じて都心企業の賃金情報を入手し転職してしまう事例があるようです。
せっかく採用・教育した人財が離脱するリスクに対する具体的な活動など伺えますと幸いです。
→
糸井
これは難しい問題ですよね。外国籍人材だけの話ではない気もします。
前提としてそれぞれに選択の自由があるので、会社が引き留めたとしても必ずしも効果があるとは限らないので、研修や社内での交流などを通じて「この会社で働きたいな」と感じてもらえるように、日本人的な考え方かもしれないですが、恩義を売っておくというか、「ここの会社の人たちによくしてもらったな」とか「働きやすいな」と感じてもらうのが良いのかなと。
お給料勝負をすると大手企業には叶わないしきりがなくなっていくと思うので、給与面で離脱するのであればしょうがないと割り切るしかないかなとは思っています。
それよりは、「いい会社だから、長くいたい」と思ってもらえるような取り組みが1番の対策なのかなと思います。