海外人材採用を始めたきっかけ

ー海外人材採用に取り組むことになったきっかけは何ですか?

福田氏:
 きっかけは大きく二つあります。一つは、2020年頃から社内で議論されていたエンジニアの新卒採用の開始です。 もう一つは、同時期に検討されていた海外の拠点設立です。 海外拠点の話は一旦見送られましたが、Sun *から他社の事例を聞き、xseeds Hubとの出会いがあり、海外新卒採用の可能性を検討しはじめました。

 タイミング的に、国内新卒採用よりもベトナム新卒の入社時期が早かったこともあり、まずはベトナムからのトライアル採用を開始することにしました。

採用にあたっての不安と期待

ー新卒採用がいきなり海外国籍という点について、社内の反応はいかがでしたか? 

福田氏:
 反応は様々でしたね。 不安を感じる人もいれば、少子高齢化を見据えてグローバルな人材を求めるべきだと考える人もいました。 ただ、ネガティブな反応というのは特になかったです。どちらかというとグローバル人材との協働に期待する声が多く、全体としてはポジティブな反応が多かったです。 元々、弊社では海外国籍社員は中途採用では採用していました。それも海外国籍だから採用したのではなく面接して良い方だったので採用した、という形でした。

ー海外から新卒を採用するにあたって、不安な点はありましたか? 

福田氏:
 一番の懸念は言語コミュニケーションの壁と、研修受け入れ体制の構築でした。 新卒採用自体が初めてだったため、社内に受け入れ体制や研修体制が整っておらず、日本語でのコミュニケーション能力に対する不安も大きかったのが正直なところです。

 しかし、やはり会社全体のカルチャーをグローバル化したいという思いが会社全体に強くありました。その中で、xseeds Hubは優秀な人材を採用できると考えました。 さらに国内採用に比べて競争率が低く、日本で働く意欲の高い学生に出会える点も魅力的でしたので、導入に向けて話が進んでいきました。

ー xseeds Hubを導入することになった理由は何ですか?

坂根氏:
 通常のフォローだけでなく、教育と一体化している点が大きかったです。内定がでた後に日本語を学ぶのではなく、4年間かけてしっかり学ぶ体制ができていることで、面接時の日本語力が入社時にどのくらいまで上がりそうかのイメージができた点がよかったです。

印象的だった学生たちと評価のポイント

ー選考会に参加した学生の印象はいかがでしたか? 

福田氏:
 表現として稚拙かもしれませんが、学生たちの目がキラキラと輝いていて、純真な目をしているなという印象を強く受けました。ベトナムの学生は、日本で経験を積んでいつか自分が自国を良くしたいといった、行動原理を感じました。ハングリー精神みたいなものを持っている学生が多いように思います。

坂根氏:
 私も面接にかけている想いを強く感じました。ある意味この面接で最初のキャリアが決まるので、覚悟をもって面接に望んでいる印象を受けました。その想いを大切にしたかったので、私たちも「合否がどうであろうと面接を受けて楽しかった」と思ってもらえるようにしようと徹底していた部分もあります。

ー内定を出した学生の評価ポイントは何ですか? 

福田氏:
 主に三つの観点から評価しています。 一つ目は技術力、二つ目は社会貢献へのマインドセットと社風への適合性、三つ目は日本語力です。 特に、日本語力については、業務上のコミュニケーション能力と、日本での生活に適応できるかを重視していました。

 日本語力については、決して高いレベルは求めていなくて、 日本への興味や関心、文化的な接点などを確認し、日本での生活を楽しめるかどうかを判断していました。

ー御社の「技術力が高い」や「優秀」の定義はどんなものですか?

福田氏:
 難しいところではあるんですが。笑
 正確に言うと技術力が高いというより「技術ポテンシャル」が高いと思っています。ソフトウェアエンジニアリングに対する興味や学習意欲、アウトプットの質でしょうか。

 重要なのは、例えばあるものに対しどう興味を持ってその学びを深めるためにどういう行動をとってアウトプットを出したのか、改善策だったりフィードバックループをどのくらい回すことができるかだと思っているので、そのような観点で見させてもらいました。

 学生のうちから強い興味関心を持って技術にあたっていて、自ら学んでアウトプットをしている人っていうのは、その後もすごい急角度で成長していくだろうと思っています。

ーこれまで面接した学生の中で最も印象に残っている学生はいますか?

福田氏:
 全員面接も対応しているので、全員印象深いので難しいですが、 その中でも1回目の選考会に参加したAさんについては特に印象的です。通訳が話す言葉ではなく、こちらの日本語を全て理解していたように思います。日本語に対する意欲も非常に高かったですね。そして何よりも質問の切り返しが非常に優秀で「中途採用の面接でも、普通その視点では質問できない」と思いました。

坂根氏:
 私は、2回目の選考会に参加したBさんです。私たちに対し、自分の考えを自分の言葉で伝えたいという高い意欲を感じました。弊社への逆質問も非常に多く、興味をもってもらっているという印象を強く感じました。

入社後の成長と今後の期待

ー入社した1期生についての印象はどうですか。

福田氏:
 積極的に学ぼうとする姿勢が強いと感じています。 例えば、日本の新卒の方は同期同士で考えたり質問しあったりしている印象ですが、ベトナムの方はメンターや先輩社員にすぐに質問する姿をよく見ます。その点で、学ぶ姿勢の方向性が違うなと感じました。

ー入社を控えている内定者がいますが、フォローで工夫していることはありますか?

坂根氏:
 1学年5名の内定者がいるので、フォロー面談では一人10分程度しか発話の時間がありません。そのため、とにかく良かったことを褒めるようにし、入社時期を見ながら徐々に発音やアクセント、文法など細かい部分を指摘したりしています。日本に来てからは、発音や文法のミスを注意されることが少なくなると思ったので、気づいたことは「ワンポイントアドバイス」として個別に伝えたりしています。

 私は、彼らと話す機会が一番多いので彼らが言いたいことは大体わかります。ですが、社内や社外の人へ同じように伝わるとは限らないので「意味は分かるけど、正しくはこうだよ」と伝えるようにしていますね。

ー海外人材採用で特に気をつけていることは何ですか?

坂根氏:
 海外・日本国内採用どちらにも共通していますが、「彼らの最初のキャリアである」という責任の重さを常に意識しています。その上で、海外から日本に渡り働くという挑戦に関して、私自身も彼らの人生を背負う覚悟をもって取り組んでいます。この想いは、面接官にも事前にしっかりと伝えているので、面接官もみんなが同じ想いで接しています。

ーベトナムのメンバーに、今後どのような活躍を期待しますか? 

福田氏:
 これはベトナムのメンバーに限らずですが、弁護士ドットコムの文化の担い手として、会社の中心となって活躍してくれることを期待しています。 また、彼らの代が積み重なることで多様性のある組織をより強く、彼ら独自の文化的な背景や視点を組織に注ぎ込んで、会社を面白い方向に発展させてほしいと思っています。そして、周囲の人の見本となるような立ち振る舞いや働き方を実践していって欲しいと思っています。

ー海外からの新卒採用に二の足を踏んでいる企業に対して、メッセージはありますか? 

福田氏:
 他の企業に知られたくない気持ちもあるんですが。笑

 おそらくxseeds Hubでなかったら新卒で海外国籍採用をしなかったと思います。我々も初の新卒採用で海外国籍の方を採用するってめちゃくちゃ不安ではあったんですけれども、xseeds Hubでは親身になってサポートしてくれて、相談したらすぐに対応してくれました。手厚いサービスとこれまでの実績も含め、非常に頼もしい存在だと感じています。

坂根氏:
 私たちのビジョンは「まだないやり方で、世界を前へ。」です。このビジョンに則り、いいプロジェクト、いいサービスを広く提供したいと思うのであれば、日本人という国籍に留まる必要性はないのかなと考えています。

 日本で働く上で、日本語力はどうしても必要ですが、業務上のコミュニケーションではSlackなどテキストで行う機会も多いと思いますので、AIや翻訳機能も活用すればある程度の形になります。Web会議ツールを活用すれば通常の会話スピードで行っても録画を後で見返すこともできます。そのため、日本語が完璧でなくても意思疎通は可能だと思います。

 それよりも、彼らが日本に憧れをもって来てくれるので、日本で働いて良かったと感じてもらいたいという想いのほうが大切だと考えています。